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「北山、頼む。」
呼吸が整って来た時に崎本部長が私から離れて
宏光に声をかける。
ほんとは、宏光に触れられたくなかったけど
これ以上崎本部長に甘える訳にはいかない。
私の肩を抱き寄せようとする宏光に大丈夫だから、と一言言うのが精一杯だった。
その時、タクシーが止まってそれに乗るように崎本部長に促される。
有無を言わさず宏光に抱えられて、座席に乗り込んだ。
やっぱりさっきの発作で体力が奪われてるみたいで窓際に頭を寄せる。
宏光は崎本部長になにか言われてるみたいで
その声は聞こえなかったけどどうでもよかった。
バタン、とドアが閉まり私達の家の住所を告げる宏光。
帰る場所は、同じ。
付き合ってからケンカした事なんてなかった。
今が、そうなのかわからないけどとにかく一人でいたい。
「過呼吸ってなに?俺知らなかったんだけど。」
さっきみたいな怒ってる口調ではないけど
なんだか納得の言ってなさそうな宏光の声。
知らないよ、私だってさっき自分の体の状態を崎本部長に教えてもらったんだから。
「・・・なんで、俺が知らない事を崎本部長が知ってる訳?」
知らないって。
崎本部長は人の事よく見てる人なんだよ。
それは昔っからそうで私だけ特別って訳じゃない。
「なんでなんも言わねーの?それとも、俺より崎本部長の方が体調の相談しやすかったとか?」
・・・そんな訳ないじゃん。
ただ、宏光の前では辛くなかったから言う程の事じゃないと思ってたんだよ。でも、週明け病院に行こうかと考えてた事は今日言うつもりだったよ。
「なぁ?口くらい聞けるだろ?」
イラついてる宏光。
でも、私はどうしてもさっきの桐谷部長といた宏光の顔が忘れられなくて、
宏光が私の事、ちゃんと、見てくれてるのかわからなくて嫉妬と不安と、訳のわけらない自信のなさで殻に閉じこもってしまう。
何も言わない私に諦めたようにため息をついた宏光はそのまま家に着くまで黙ったままだった。
でも、きっと、家に入れば宏光はまた同じ質問をしてくる。
私はそんな事よりさっきの桐谷部長との事をどんな風に訊ねればいいのか、とその事ばかりを考えていた。
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haru070917(プロフ) - ありがとうございます。でも北山夫婦のこれからも知りたいかなまた書いて下さい (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6044a23124 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - あやかさん» 本編読み終えて下さったんですね!長い時間お疲れ様でした^^;ありがたいです。続編というか完全に桐谷部長のお話になるのでまた、趣向が変わるかもです。が良ければお付き合い下さいーっ♪ (2019年12月21日 21時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 完結お疲れ様でした!遅ればせながら、本編を読み終え、自分の気持ちの中でとても上がっている作品なので、また続編を書いて頂けるなんて、とても嬉しいです(^^)楽しみにしています! (2019年12月21日 18時) (レス) id: d1d73bb006 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - りーちゃんさん» 素敵と言ってもらえてほっとしました。読み応えあるものを、と思っていたので嬉しいです(T_T)こちらこそ、ずっとお付き合い下さってありがとうございました!!(^^) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - nanacoさん» スッキリできてたー?いつもラストは難しいなって思うよ^^;nanacoちゃんもずっと読んでくれてありがとー!スピンオフもよろしくね♪ (2019年12月21日 13時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2019年11月23日 20時