女心とミツと空。【完結】

１０ 北山side ページ10

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クリスマスイブ。



俺は今、自分の部屋でアキの為に選んだダウンを手に途方に暮れていた。








『これ、誰と選んだの？』







悲しそうに言われても、アキが何を言いたいのかわからなくて。



だから普通に「上原と」って言った瞬間平手打ちされた。




『宏光は、ずっと上原さんの事しか考えてないよね？』




そう言われて
俺は初めて自分がもうアキを好きじゃないんだって事に気がついてしまった。



当然、アキは随分前からわかってたみたいで
アキももう、諦めてるみたいに見えた。




『別れる時くらい、ちゃんと宏光の口から聞きたかった。』





そう言い残して部屋から出てくアキの背中を見送る事しか出来なくて。







･･･俺、いつからアキより上原になってたんだろう？





情けないけど、アキに振られて自分の気持ちに気がついてしまった。



あいつ、今頃、沢村にプレゼント上げて喜んで貰ってんのかな。



あいつ、今、幸せなのかな。



俺は、上原が幸せならそれでいいんだよ。



それでいいはずだったのに、
自分が上原を好きだと自覚してしまえば
あんな男なんかより俺が上原を･･････って思った途端苦笑いした。



自分の彼女すら幸せに出来ないくせに
なに偉そーな事、･･･って。









長年付き合ってたアキと別れて俺も少なからずショックを受けてた。



本当にそろそろ結婚するんだろう、って勝手に思ってたし、アキはもう既に自分の分身みたいな存在だったのに･･･。



だから、アキがあの日、ああ言ってくれなかったら
俺は何の違和感もなく今でもアキと付き合ってたんだと思う。



最低だよな。


自分が誰を好きかもわからず
彼女を傷付けてたなんて。



あの後、アキに電話で謝ったんだ。
こんな事になってごめんって。



『バカだね、宏光は。』



最後のアキの呆れ声。



その声は、もう自分の事を好きじゃない男なんてどうでもいいっていう吹っ切れた言い方で、それがさっぱりした性格のアキらしくてそんな所も好きだったなって改めて思った。



過去の女にも未練たらしい、どうしようもない俺だけど、
年明け、そんな事言ってらんない程の出来事が上原に起こる事になる。





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