女心とミツと空。【完結】

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「沢村の事なんて忘れさせてやるよ。愛してるから。おまえの事。」




あれれ？何バカなセリフ吐いちゃってるの？



ちょっと冗談っぽく
面白く言ってるのかと思いきや
その顔は大真面目で引くんですけど。




でも、おかしいな。




･･･ちょっとときめいちゃったじゃん。





「わ。ここどこだと思ってんの？会議室で女の顔すんなよ。」


「ぶ、ぶぁかじゃないのっ？？し、してませんーっ、」





途端表情を変えて可笑しそうに声を上げて笑ってる。




顔が熱いっ、
私、北山に弄ばれてるっ？？




それでもやっぱり北山はまた真面目な顔で




「ちゃんとしてやるから、な？今日家行くぞ？」





また優しく抱きしめられて耳元で囁かれるとなんだか今までの北山と違うように感じてしまう。



それでも



「ちゃんとしてやるからって、なんか、もちょっと言い方ないわけ？え ろ親父じゃん！完璧っ、」



茶化したくなるのはしょうがないよ。
だって、本当にこれから北山とそういう事するのかと思うとふざけたくなるんだもん。



それに、まだまだ自分の気持ち、わからないから。




私の動揺、伝わってるんだろうか？
ものすごく茶化したいのに言葉が出てこなくてオロオロしてしまう。



そんな私にもう一度、「家、行くぞ？」
なんて、まだ聞くわけ？



もうっ。
いっつも勝手に来てるくせに。




「マフラー、忘れてるよ？取りに来たら？」





"家に来る"




今までとは違う。
来てもいいよっていう返事は
北山とそういう事をするのを受け入れるって事で･･･



可愛くない返事しかできない。
素直に来れば？とか言えないよ。



それでも北山は満足したように了解、と私から離れてニマっと笑って出て行った。








・








やばいやばい、妙に緊張するんですけどっ。



北山の手には袋いっぱいにすき焼きの材料が入った買い物袋。



正直、すき焼きどころじゃないのよ、私の心境は。





「精付けとかねーとなっ。」



ウキウキ
ルンルン
意気揚々



背中に羽根でも生えてんじゃないかって言う程浮かれてる北山を横目になんだかため息が出た。




そもそも、
「そんな精付けなくても普通に勝負しなさいよ」
とか面白い事も言えない、今の私にもため息。





あー、やだ。




北山の前で女になっちゃう私が。







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