女心とミツと空。【完結】

２９ 北山side ページ29

・




「北山さーんっ、」


「おまたせ。行こっか。」




小坂とデートっつったってどこ行きゃいいかわかんなくて。そしたら普通に飲みに行きたいって。



なんとなーくお洒落なダイニングバーに入って薄暗い照明の中、二人で並んで座る。



甘そうなカクテルと、ビールで乾杯。




「北山さんと、こうしてるなんて夢みたい。」



程なくしてすぐに顔が赤くなった小坂。
少し目がトロンとしてきて色気あるなーって客観的に眺めてる。



こいつは、モテるんだろうな。



･･･Aと違って。




わざわざ無理めな俺なんかにしないで
違う奴狙えばいいのに、なんて思ったり。



でも、手っ取り早くAを忘れる為には
ちょうどいいのかもしんないな、



なんだか酔いたい気分でいつもより酒が進む。



小坂がふいに俺の太ももに手を乗せてきた。



・・・そういうタイプか。
積極的だな〜。
可愛らしい雰囲気だけど肉食系。
彼女にするとして、どうなんだろ。



でも、俺からガツガツ行くのもなんだか疲れたし、
相手から攻められてその流れに乗りたい気分だ。



酔ってるから俺も人肌恋しくてその手を掴んだ。




結構一人で話すタイプみたいで
ずっと自分の話しや会社の話しをとめどなくしてる。


それが今の俺には楽で適当にうんうん、と相槌をうった。



なにより女の子として魅力的な子で
いい匂いするし、髪の毛もふわふわ、着てるセーターもふわふわ。とにかく全部が"可愛い"で出来てて眺めてるだけで癒される。



なんだかんだ、こーゆー女に男は弱いんだな。



もう、こいつに決めちゃいたい。





「出よっか。」




手を握って店を出て、そのままホテルに連れ込むつもりだった。




店を出て歩くと人だかりが出来てる。
何かテレビの撮影みたいだ。



どうやら大倉と同じグループのメンバーがバラエティ番組の撮影をしてるようでファンらしき人が黄色い声を上げてる。




「･･･わ。私、あーゆーアイドル好きな人達ってなんか引くんですよねー。」



あからさまに嫌悪感を露わにする小坂。



そ？俺、いつも見てる(見せられてる)アイドルがそこにいて若干テンション上がったんだけど。



「あーゆー人達ってリア充じゃないっていうか、現実逃避っていうか。なんか可哀想じゃないですか？」









・・・・・、









・









あ、俺、やっぱAがいい。









・

３０ 北山side→←２８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す