女心とミツと空。【完結】

１１ 北山side ページ11

・




年初めの仕事。


上原を好きだと自覚してから初めて上原と会う。


て言ったって、いつも通りにするしかないよな。
あいつはいつまで経っても沢村沢村だし。



でも･･･ほんとにそれでいいのか？



出勤中、ため息をつきながら歩いてると
とろとろと歩いてる上原に追いついた。





「なんだよ、おまえ、朝から覇気がなさすぎるぞ？」


「あー、北山か。おはよ。」


「･･････顔色わるっ、」


「うるさいよ、顔が悪いのは元々。」




顔悪いとか言ってねーし。
つかマジで幽霊かってほど精気がなくて血色の悪い顔色。





「･･･おまえ、ちゃんと食ってちゃんと寝てるか？どんな正月送ってたんだよ。」


「あー。そういえばご飯食べたっけ？わかんない。」






やばい。
こいつ、今、死相出てる気する。



無意識に上原の額に手を当てて熱が無いことは確認。



すぐそこにあるコンビニに寄って栄養ドリンクを買って手渡す。




「なにこれ。」


「なんかわかんねーけど、しっかりしろって。飲め。」


「いらなーい。味きらーい。」


「バカ。これから一日仕事すんだぞ？食えてねーなら飲め。」




一度渡した物を取り上げてキャップを開けてやる。


そのまま口に押し込むように飲ませると
唸りながらも飲み込んでるから少しほっとして。





「帰りに聞いてやっから。今日早く上がれよ？」


「･･･うん。」





それだけ言ってまた歩き出す上原。



明らかにおかしい。



その日は上原が心配で、ことある事に上原のいるフロアを覗きに行って生存確認して。


沢村はそんな上原を気にも止めてないようにいつも通りだからイラつくし。




仕事を巻いて終わらせて
上原を迎えに行くと沢村と何か話してる上原。



作り笑顔を浮かべてお疲れ様、と沢村に言ってから俺が来てる事に気が付いた。






途端気まずそうに目を伏せて
カバンを持ってこっちに来る。



「おまたせ。」


「何が食えそう？」


「･･･なんでも。北山のいい所でいいよ。」





って事はやっぱりなんにも食えそうにないって事だよな。



店なんかに入る雰囲気でも無さそうで
思わずうち来る？って口走ってた。




「なんで？北山の家･･･？」


「居酒屋より俺がなんか作ってやろっかなって。」





そっちの方がこいつも落ち着けるんじゃないかって。
いきなり今までの同期の枠を一気に超えた発言をしてしまった俺を、上原はどう思うだろうか？

１２ 北山side→←１０ 北山side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す