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16 北山side ページ16








定時終わり、
いつもの癖で上原のフロアに顔を出すと
ちょうど沢村と話してる。



話はすぐ終わったみたいで
沢村は仕事に戻ってるんだけど
上原が立ち尽くしたまんま、放心してるように見えた。




すぐ横をフロアを出ようとした沢村が通ったから思わず腕を掴んでた。




「・・・なんすか?」


「おまえ、今、上原になんつった?」


「え・・・?彼女出来たって報告?っすかね。」





はぁ?
なんだコイツ。
しれっと悪びれる様子のない沢村は
本当に自分が何をしたか、なんて気付いてもないんだろう。



だからその腕を乱暴に離して、そう、と渇いた返事をした。
首を傾げながら出ていく沢村を背に
上原の所へ駆け寄る。




「上原、・・・上原?」



肩を掴むまで俺に呼ばれてる事も気付かなかったみたいだ。



やばい。
こいつ、精気がない。
倒れる寸前、みたいな顔色しやがって。



こんなフロアのど真ん中で倒れたら目立つし
他の人に気を使われるのも辛いだろ。



とりあえず立ってるのがやっと、
みたいな上原の肩を抱き寄せると俺になんなく寄りかかってきた。



その重みを支えながら
医務室まで急いだ。



着くなり視点の定まらない目から静かに涙を流す上原を抱きしめたくなったけど
とりあえず今は横にさせてやりたくて無理矢理布団に押し込む。







「北山、もういいから。落ち着いたら一人で帰る。」


「んな状態で一人にさせるわけねーだろ?」


「一人になりたい。」
「無理」






それ以上話す気力が無くなったようで
押し黙る上原に俺も握った手をずっと離さなかった。




どれくらい経っただろうか。
温かい飲み物でも飲ませてやりたくて
すぐ戻るから、と何も聞いてないような上原にひと言伝えて自販機にお茶を買いに行く。



医務室に戻ると、抜け殻の布団だけが盛り上がってて・・・



あいつっ、
一瞬の隙で出て行きやがった、



焦って会社の外に出て、もう日が暮れたオフィス街の道をとりあえず駅の方面へと走る。



手ぶらでふらふらと歩いてる上原をすぐ先に見つけて追い付いて、肩を掴む。





「ばかやろ、おまえ、金も持たずどこ行く気だよっ?」




ぼんやりと俺を見た上原は
急に口を抑えて植え込みに走ってる。





・・・・え?





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Haru(プロフ) - にかみつばさん» みっくんの長年の恋がようやく実っての、完結でした。そう言って頂けてありがたいです!また他作品、遊びに来てくださいね!ありがとうございます(^^) (2020年5月25日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - みっくんの恋が報われて嬉しいです。もっともっと読んでいたかったです。 (2020年5月25日 12時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - りーちゃんさん» ありがとうございますー!みっくんの長年の口説きにようやく落とされまして無事完結致しました(笑)そうですよね、私ラブラブがなかなか書けなくてすぐ終わりにしてしまう悪い癖が(笑)他作品もよろしくお願いいたします♪ (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - さっこさん» さっこさんもいつもコメントありがとうございます!番外編。。ちょっと今は考えられないですがそう言って頂けるのは幸せです。また読み直して下さるとは。。ありがたいですーっ、他作品も頑張ります♪ (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みちこさん» ありがとうございます!女は愛される方が幸せ。。まさにこの物語がそうですよね。それが北山さんなら。。言う事ないのですが(笑) (2020年2月25日 16時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Haru | 作成日時:2019年9月29日 8時

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