カラフル←←

※ ページ49

でもまた枯らしてしまうだろうか？
そんな事を考えてるとタカシは勝手にお店の人にこれくださいって言ってこの前よりも一回り大きな鉢を手に戻ってきた。



「今度は枯らさないよ、Aは。」


「どうしてわかるの？」


「だって、俺の世話で忙しいからそんなにこいつに構ってらんないっしょ。」


「そ、そうかな。」






逆にほっときすぎて枯らしてしまうんじゃあ、なんて心配になるけど今回はタカシの家に持って帰ると言うから少し安心。









タカシの家に行く度、イキイキとシダが生えているアジアンタムを見るのが日課になった。






「タカシってさ、ズボラに見えてこういうお世話得意なんだねー。」


「まーねん。緑が部屋にあると癒されるじゃん？やっぱ。Aが家に住むようになってもこいつで癒されて欲しいしさ。」





･･･やさし。



あからさまな優しさってのはない彼氏なんだけど。
こうして自然体でいられる今の彼氏自体が私の癒しだ。






「タカシがアジアンタムみたいだねー。」


「なんじゃそれ。」


「癒しの塊って感じ。」


「･･･へぇ。嬉しいけど。男としてどうなの？それ。」








途端グイッと抱き寄せられるから私の視界は緑色のシダからタカシの顔に変わった。





可愛い目。
きゅるるんって不安そうにしてるんだけど、
どうしてタカシはアジアンタムにまで嫉妬してるんだろう？



そのままいつもよりも自信無さげに重なる唇。



いつも強引なのに今日は遠慮気味でどうしちゃったの？
彼なりにまだ私の気持ちへの不安があるのなら
私は何度でも伝えなきゃいけない。
それは何度でも。



ずっと想ってくれてたタカシへの感謝も込めて。






「男としても、最高に決まってるよ？私の彼氏は。」









・
「カラフル←GREEN」




Fin

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