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「どうして？どうしてAのせいなんだと思う？」




私の次の言葉をゆっくりと待ってくれてる。
背中をとんとん、と優しく叩いてくれるの、好きだったんだ。



だからこんなに太輔が胸の内を話してくれた今、ちゃんと私も言わなきゃって思う。




「･･･太輔に嫌われたくないってずっと思ってたの。」



「俺、そんな不安にさせてた？」



「そうじゃないよ？自分の問題なの。太輔の彼女はこうじゃなきゃいけないって勝手に自分で理想の彼女像を作ってそうなりたいって思ってた。」



「･･･どんな彼女像か聞かせてくれる？」




「･･･綺麗で可愛くてお洒落で礼儀正しくて･･･女らしくて仕事出来てお料理が上手で」
「ちょ、いや、ちょっと待って？」




目を見開いて私を制止する太輔。




「そりゃ･･･その通りの彼女だったよ、Aは。でも 俺はそんなAだから好きになった訳じゃないよ？逆に言えばそんなAじゃなくても俺はAが好きだからな？」



「･･･そうなのかもしれない。でもそれじゃ私が納得出来なかったのっ、」



「辛い想いさせた？」




そんなわけないっ。
首をブンブンと横に振る。




「太輔の隣にいて恥ずかしくない自分でいたかったの。」





ふぅーっとため息を付いた太輔。




こんな私、やっぱり重いよね？
言うんじゃなかったって思ったけど
今更太輔に嫌われたってもう、既に別れてるんだから仕方ないって。





「･･･なぁ？さっきの玉森くん？の事、教えてくんない？」




急に会話を変えられてびっくりするけど
私は基本太輔の言う事に合わせてしまうから




「同期なの。飲み仲間。」



と普通に答える。



「告白されて、どう思った？」



･･･そんなの、なんて言っていいわかんないって。



「モデルみたいじゃん？話し方も優しそう。俺に食ってかかる所なんか男らしくてさ。いい男なんだろな。」



「･･･そう、だけど。私にとっては仲のいい同期なの。」



「心揺れなかった？」



揺れたよ。揺れたに決まってる。
太輔と別れてから普段の玉森とは違う面を沢山見せられて、ドキドキした事だってあったよ。



「揺れたんだ、」



答えない私の代わりに太輔が正解を言う。



「あとは？さっき言ってた北山さん？誰？」



「･･･同じ部署の先輩。」



「北山さんはどんな人？」




太輔の尋問は口調は優しいけど
答えなきゃいけない空気で私はもうどうにでもなれってタカをくくった。

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