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「ごめんな？俺が不甲斐ないせいで。」



そう言ってまた私を抱きしめて来る太輔。
さっきみたいな腕の強さはどこにもなくて
これはお別れのハグなんだなって思ったら自然と背中に腕を回してた。



「違うよ。私が弱いから。太輔に嫌われたくない一心だったからだよ。」







前に進もう。
そう思った瞬間
太輔の腕が強くなって息が苦しい。




「ごめん、」








こんなに辛そうな太輔の声を聞く事があっただろうか？


そう思うとまた涙が零れたけど
いつまでもこの胸の中にいられない。




涙を拭って顔を上げる。






「太輔、元気でね？」





ちゃんと、目を見て言えた。
そしたら太輔は小さくため息をついて少し微笑んでから、あぁ、Aも、と力なく言う。



私に背を向けて部屋を出てく太輔を見送ってから全身の力が抜けたようにへなへなとその場に座り込んだ。




本当に終わった。




前は突然な別れで受け入れられなかったけど
今日やっと自分の中で納得が出来た。



まさかよりを戻したい、と言う太輔に自分から終わりにするなんて思いもしてなかったけど。






他の誰とも付き合う気なんてないってさっきは言ったけど、太輔と戻らないという結論を出した私はもしかしたら誰かにもう傾いてるのかもしれない。





･･･みんな優しいんだよ。
甘えちゃうし。




こういう所なんだろう。
太輔にかっこつけて全てさらけ出せなかった私が
これからもずっと太輔と付き合って行ける訳なかったんだ。



なぜだか今なら冷静にそう思えた。







しばらくその場に膝を抱えてうずくまる。



太輔と別れてちゃんと一人で考える時間をあえて持たないようにしてた。



そんな私の気持ちを汲むように北山さんや玉森やニカがこんな私といてくれたんだ。






・・・ほんとに太輔と別れてから色々ありすぎた。



この一ヶ月、三人との事を辿ってみる。







ふと顔を上げるとベットサイドのアジアンタムが少しくたびれた色をして元気がなくなってる。




止まったはずの涙が自然とまた頬を伝う。









あれ？









・・・ニカに会いたい。









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