You love me？

俺を好きな人。 ページ37

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稲掛A。



第一線で活躍する女優さんにまさか口説かれる事になるとは思いもしてなかった。



本気かなー、この子。
初めて会った時に連れてた俳優は付き合ってるって噂になってる男だったし


稲掛Aと言えば業界でも知られた”魔性の女”だ。



告られた瞬間、その女の次の白羽の矢は俺になったのか、とびっくりした。


つか、別れんの、早くね？確かその男の前の男もあっという間だったってなんとなく頭にあったから。



･･･なるほど。でもな。
こうして好きだと言われるとそりゃ簡単に落ちる。
かわいいし。
綺麗だし。
特別顔が整ってるタイプの子ではないけど
なんと言っても魅力的だ。さすが人気女優。




でもな。




元々口説かれて落ちる、とかデビューしてからなかったし慎重に相手は選んできたつもり。


この仕事してるならきちんと理解してくれる子じゃないと無理だし。


で、理解してくれる子なんてほとんどいないに等しい、って事が最近わかってきたっていうか。



だって、俺なんて
会えない
連絡しない
公に出来ない、


の無い物づくしの男だぞ？


その上彼女には求められると困る、とかわがままな事思ってる俺に、今女の子と付き合う資格なんてねーなって思い出してる所だった。



だから極力、そういう出会いは避けてたし
女の子と二人で飲むってのも止めてたし
どんな女の子でもとにかく男友達と同じ扱いにしよう、と決めてたから。



ずっと友達続けてたらきっとAみたいなタイプの子は痺れを切らして違う男ん所でも行くだろ、とも思ってたし。



でも、すぐ断れなかったのはやっぱり彼女がいい女だから。



煮え切らない俺にどこまで愛想付かさず付き合うのかな、って少しこの状況を楽しんでた。



人としてもとても魅力的な子だったから
話してても楽しかった。



我が強くなきゃ女優さんなんてやってけねーだろって思うんだけど、彼女はとても聞き上手で受け身だからいつも酔っ払ってはAに熱く色々語ってたと思う。



そりゃモテるはずだわ。




要するに、俺にとって、物凄く居心地の良い子だったんだ。





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