You love me？

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だから自然な流れで二人でお店を出て
すぐにひろに腰を抱かれたけど拒まなかった。



それはひろの、これからの夜の合図にオッケーを出したようなもの。




ひろも相当酔ってるみたいで
お互い体を預けるようにして縺れあって歩いて
くだらない話をポツポツとしながらホテル街へ向かう。




おかしいけど後から思い返せばその時間が一番楽しくて
もうあの時間を過ごせないんだ、と思うと胸がギュっと苦しくなった。



ベットでのひろは優しくて温かくて
たまにＳで時折愛しそうに私を見下ろして･･･、



一夜限りの女の扱いがこうも完璧だと
後腐れなく別れる、とか他の子は出来るのかな？って余計な心配までしてしまうほど。




彼氏と別れて早々にまたバカな事をしてしまった、と自己嫌悪に陥るけど後悔はないし変な幸福感があった。







朝、目が覚めた時に彼はいなかった。
出て行く物音にも気が付かず熟睡するなんて、
それはあまりにも深酒をしたからか、充たされてたからか･･･




でも、これでいいんだ。
夜を共にした相手と朝、顔を合わす程鬱陶しい事はない。




ベットサイドの紙切れを流し見してすぐにビリビリに破ってゴミ箱へ捨てた。



やけに達筆そうな字でフルネームらしき名前と電話番号が書かれてあったけど、あえて見ないようにした。



フルネームなんて知ってしまったら
この夜が急に生々しくなるような気がして。



それに本当に連絡が欲しい、なんて思ってもないだろう。
ひろなりの気遣いだ、と思った。









それから一ヶ月。



まだ性懲りもなくひろを想ってしまう。



あの時間を忘れた時がないくらい
二度と会う事のない男に囚われて過ごしてる。




あんな数時間過ごしただけの相手を忘れられないなんて初めての事で･･･




ほんとに恋してしまったんだろうか？
もしそうだったとしても
私達の時間はあの時だけで完結してる。





バカな事考えても、仕方がない。



そう自分を納得させて
ぼんやりと会社帰りに横断歩道の信号が青になるのを待ってると･･･



何気なく見た向かい側の横断歩道






ひろ、だ。






あの夢のような時間から今の今までずっと頭から離れてくれなかった男の姿。




久しぶりに見る彼の顔。
夜の顔と違って少し真面目なちゃんとした会社員、って感じで、私はやっぱり彼の事は何も知らないんだ。

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