中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

８ 北山side ページ8

俺の忠告なんてなんのその。
しぶとい桜子に引きづられるようにして藤ヶ谷の隣の席に移動させられた。





｢おぉ、北山、Aちゃんバスケやんだって。早速今週のバスケ誘っちゃった。｣




ガーン、て顔してる桜子を横目に
どうアシストしても無駄じゃね？って面倒くさい。






｢Aってバスケ部だったの？全然そんな感じしねーのな。桜子は？バリバリ体育会系っぽいじゃん。バスケやんねーの？｣




｢･･･やんないわよ。｣





アウトだな、桜子。
やっぱりお前の出番はない。
そう目線で促すとキッて睨まれた。





｢あっ、でも、見るの好きだし！Aが行くなら私もバスケ見学行くよ。いい？藤ヶ谷くん？｣



｢あぁ、もちろん。おいでよ。｣







おいでよ、だって。きも。
目がハートになってる桜子に上手くやったじゃんって意味で肩をポンと叩いて席を立とうとするとグイッと腕を引っ張られた。



あ？って視線で不快感を伝えると
もうちょいいてって視線で促してくる。



なんだこれ？
初めて会った桜子が高校の時のダチみたいに見えてきた。



藤ヶ谷を見つめる桜子にため息が出る。



面白くねーって思ってる俺は
この時、確実に桜子に惹かれてた。




だから彼女持ちの藤ヶ谷の事なんてすぐに諦めるだろってちょっと鷹を括ってた所もあって、桜子を少しだけ応援してやるか、なんて思ってた。







けど･･･、








｢えー？Aちゃんて○○高校のバスケ部だったの？！そんな強豪校にいたなんてすごい！｣



｢いえいえ、スタメンじゃないですから、｣



｢でも、そこで三年間頑張ってたんでしょ？こんな強者入ってくれたらうちのサークルも少しは試合で勝てるようになりそうよね？ね？太輔っ。｣



｢ほんとだね。うち、対大学でよく試合やってんの。女子はなかなか勝てないらしくてさ？強くなるかもね。マリエも心強いじゃん。｣



｢そ、そんな、期待されても困りますっ、｣








ほんとだ。
入ってけねー、
最強彼女、マリエさんも降臨してるし。




でもそんなスポーツ女子か、A。




静かに耳元で桜子の高校の時の部活は？って聞いたら琴部、とか意味わかんねー事言うし見た目とはかけ離れて桜子は運動はめっぽうダメっぽい。



Aの方が文化部っぽいのに二人ともギャップすげーな。



これが俺の二人に対する第一印象。



ニコっと笑うと一気に華が出るAに
これもギャップだなーって客観的に見つめてた。

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