中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

１９ ページ19

｢なんで藤ヶ谷くん、タオルかけてるんだろ？｣



素朴な疑問に桜子が呆れてるみたいだ。




｢自分の彼女の水着姿を誰にも見せたくないんでしょ。藤ヶ谷くんてそういうタイプか。｣



｢へ、へぇ。そんな男心、あんのね。｣



ほんとにそういうの、よくわからない。
でも自分は女の子の水着見ちゃうんでしょ？




｢ちくしょ。羨ましいな。カップルって感じ。｣




悔しそうな桜子。



だけどもはや、私にはそんな領域の所の複雑な男女関係、わかるはずもない。





もやもやしながら砂浜へ足を踏み入れる。




そこには真っ白い砂浜に青い海が広がっていて
青い空と熱い日差しと、気持ちいい風。
潮の香りも手伝って一気に南国気分になった。






｢きれーーーっ。｣
｢ね！マリンブルーだっ。｣





しばらく桜子と海を眺めていたらサークルの人達も続々とやってきてる。






｢おっ、桜子、ピンク〜、｣
｢おお、桜子、攻めてるな〜、｣
｢桜子ちゃん、可愛いーっ。｣





･･･とりあえず桜子に皆一言言いながら通り過ぎる面々。




・・・やっぱり虚しい。
いや、まあ、比べる方が間違ってるか。





｢おっ、おまえら頑張ってんじゃん？｣





後ろから、大好きな声。





ミツだけは桜子だけじゃなくて
私も見てくれるんだ。




嬉しいけど恥ずかしくてつい俯いてしまう。





｢そうでしょ？頑張ったけど、マリエさん見た？やばいよ。最強。｣



｢お？そーなの？見たい見たいっ、｣




背伸びして、皆が集まってる方をキョロキョロ探してるミツ。




やっぱ興味あるんだ。



男の子ってやっぱり綺麗な人の水着姿とか見たいんだな。



面白くない気持ちになりつつ、ミツを見ると



上半身、裸じゃん！！！




思わず目を逸らしてしまった。




途端ドクドクと心臓が音を立てる。
わ、私、大丈夫なのかな？
男の人の裸見てるだけでこんなドギマギして。





って違う、ミツ、だからだ。




もう一度そーっと見てみる。




細いけど程よい筋肉の付いた胸板や腹筋。
その体があまりにも綺麗で息を飲んだ。



いやいや、これじゃまるで思春期の男子じゃん私。



なんだか整理しきれない感情にあたふたしてる。




｢･･･なんだよ、マリエさん、タオル羽織ってて全然みえねーっ、｣




そんな残念そうな声出さなくても。



貧相な自分の体をもう一度確認して
パーカーのチャックをしっかりと上まで上げた。

２０ 北山side→←１８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す