中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

１４ 北山side ページ14

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桜子、あいつは藤ヶ谷の事きっと諦めるつもりない。



マリエさんといる藤ヶ谷を、切なげに見つめる桜子にそろそろ止めといたら？って俺が辛くなるくらいだ。




好き、なのかな？俺、あいつを。



はなから俺の事見てない女の子なんて興味ないはずなのに気になって仕方がないのはやっぱりそうなんだろうか。




でも、もう一人、気になる子がいる。



Aだ。



Aこそ、俺の事苦手なのか全然話も盛り上がんねーし避けられてる？くらいな態度取られてんのになんでこんな気になるんだろ。



一度だけ桜子に付き合ってバスケ見に行った事あって。



その時、男女交えてスリーオンスリーやってるAに、釘付けになった。



強豪校にいたってだけあって自分よりもだいぶ背の高い男にも負けずに互角に戦ってる姿を見てちょっと感動したんだよな。



で、シュートが決まった時の笑顔が破壊的だ。



Aは笑ってると格段に可愛い。



その笑顔を、俺じゃない奴らには惜しみなく見せつけてるAに、ちょっと嫉妬してる自分がいる。




・・・っつか、どっちも脈なしじゃん。




何がカップル成立だよ。
全然蚊帳の外だし。





同回の男どもとのトランプにも飽きて一人ウッドデッキに出てみる。





｢･･･まだ夕方かよ。｣




到着は明日の朝。




ま、天気が良かっただけマシだよな。




夕日に反射してキラキラと光る水面を眺めてたらミツ、って声掛けられて振り向くとAだった。






｢暇じゃね？何してたの？｣



｢皆で山手線ゲームだよ。私負けっぱなしだから逃げてきた。｣



｢ははっ、A、そういうの疎そうだもんな？｣



｢っ、そうだよ。真面目にずっと高校生生活送ってた私には色々付いてけない事ばっかりだよ。｣



｢ふはっ、女子高だろ？遊んでなかったの？｣



｢バスケと勉強でいっぱいだったよ。｣



｢あ、そうだよな？Aの高校って偏差値高いのに部活も手抜かないって有名な所だもんな。｣



｢バスケはやりたかったから。勉強は付いてくの必至だった。でも･･･、｣




海風でAの黒髪がなびいて、髪をかきあげる姿が夕日に反射して眩しい。




｢頑張って良かった。サークルも楽しいし、まさかこんなフェリー乗って沖縄行くなんて思いもしてなかったし。｣



｢鹿児島だけどな？｣



｢あ、そっか。鹿児島だ。｣





目を見合わせて、二人で笑い合った時
なんか胸がザワザワした。

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