中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

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途端二人きりになってシン、とする空気。
なんだか照れくさい。




今日は少し暖かいから外のベンチに座ってるんだけどやっぱり指先が冷たくてはぁーっと息を掛ける。



ミツの方をチラっと見るとミツも私を見てて
すごく優しく微笑んでるから胸がドキン、と音を立てた。





・・・かっこいいんですよ。




出会った頃は長かった髪の毛が今は短めに切られてて。
色もあの頃より落ち着いたブラウンで
あの頃のヤンチャそうなミツによく恋してたなってくらい今のミツは大人っぽい。



中身は変わらないからミツはミツで
どんな見た目でも私は恋をしたんだろうけど。





｢あの二人、桜子が告白してからも全然変わんねーな。｣





そんな事を考えてるとミツが二人の背中を見ながらポツリ、と呟いた。





｢そうみたい。なんだか普通に出来る桜子もすごいし藤ヶ谷くんも素敵。｣



｢まぁ、男側はなー、振ってる方じゃん？内心浮かれてっかもよ？藤ヶ谷の方は。｣





・・・だから、そういう浮かれた感じがない藤ヶ谷くんが素敵って言ってんのに。




｢ミツは？色んな女の子から告白されたってチラホラ聞くんですけど？やっぱり浮かれてるんだ？｣



｢あ？俺？俺別に、･･･浮かれてなんかはないかなー。｣



｢じゃあ、さっきの藤ヶ谷くんの話しはなによ？｣



｢まぁ、藤ヶ谷みたいな男はって事！心配すんなっ。俺はどんな魅力的な女の子から告られてもAしか見えてねーから！｣






・・・途端恥ずかしくなる事を大っぴらに言うんだよね。
結局こうして勢いでうやむやにされてしまうのもいつもの事なんだけど。



でも、成長したよ私。
こんな会話をミツと出来るようになってるんだから。



これぞ、カップルって感じよね？



自然とニヤニヤしてしまってる。





｢恥ずかしがったり薄ら笑いしたり忙しいヤツ〜、｣




そんな私の表情を全て見られてしまったって思っても遅い。
薄ら笑いってっ。
自己嫌悪いっぱいの私は今どんな顔してるんだろう？






｢マジでかわい。｣



チュッてほっぺたに暖かい感触が。





｢ミツ〜、またしたねっ？｣


｢隙あり〜。｣




いつも気が付けばキスされてて
実感ないまま終わってる。




こんな外で誰が見てるかわかんないから恥ずかしいし、経験のない事ばかりしてくるミツに戸惑って半泣きで熱を持つほっぺたに手を当てた。

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