66 裕太side ページ21
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「⋯そう言えば、お姉さんの引越し、今日だったね?」
「そう。今一人で途方に暮れちゃってたとこ。雪ちゃんが来てくれて嬉しいよ。」
出来るだけ明るく話してみるも、雪ちゃんは作り笑顔を見せるだけだ。
「⋯雪ちゃん、コーヒー作れる?」
「え?」
「コーヒーメーカーの使い方、教えて。」
ソファーでぼんやりしてる雪ちゃんを立たせてからキッチンに連れてく。
「⋯裕ちゃん、ほんとに一人で暮らせるの?」
コーヒーメーカーとオレを交互に見てる雪ちゃんに苦笑いしながら何とかなんでしょって笑いかけると雪ちゃんも少しだけ笑ってくれた。
「ほら。一杯分ならスプーンにこれくらいだよ?」
うん。ほんとは姉貴に聞いて知ってたけど
なんだか雪ちゃんに他の事で気を紛らわせて欲しくてそーなのー?なんてとぼけとく。
でも、やっぱり誰かに淹れて貰うコーヒーは上手い。
小さい手でカップを包み込んでコーヒーを一口飲んだ後、雪ちゃんの目からまた一粒の涙が零れ落ちた。
「⋯裕ちゃん⋯、やっぱり私、パパ以外の人好きになれないんだよ。」
「何があったの?」
ついに涙が止まらなくなった雪ちゃんの持ってる手からカップを受け取りテーブルに置いた。
ひとしきり泣くだけ泣いてる、雪ちゃんの隣に座って頭を撫でてやる事しか出来なくて⋯
しばらくしてようやく、泣き止んだ雪ちゃんはオレの顔を見上げてから辛そうに
「⋯キス、とか、できないっ、」
オレに訴えるように絞り出した声で言ってきた。
「⋯さっきまで会ってたの?」
雪ちゃんが好きになれそう、って言ってた山本くん。名前までしっかり覚えちゃってるし。
「うん。付き合おうって言って貰ったの。で、嬉しくて。」
「え?今日付き合っていきなりキスされたのっ??」
おいっ!山本くん、そんな手早い男だった訳?
聞いてた誠実さの欠片もないんだけどっ??
「されてないの。おもいっきり拒んで突き飛ばして逃げてきちゃったっ⋯、」
・・・山本くんには悪いけど
もう雪ちゃんはオレが貰う。
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Haru(プロフ) - moraさん» えーっ、なんでだろう。。そして通知なくてもちゃんと読んで下さってありがとうございます(笑)にしても困ります( ̄▽ ̄) (2019年2月26日 18時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - Runaさん» そう言って頂くと本当に嬉しいです(T_T)ぜひぜひまた遊びにいらしてくださーい(^^) (2019年2月26日 18時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - Haruさーん…。またこのお話通知来なくなったんですけどー…。なぜー…。こんなに楽しみにしてるのにー。通知来なくても、ちゃんと読んでますけど 笑 (2019年2月25日 23時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
Runa(プロフ) - Haruさん» お返事ありがとうございます。敬遠してた反動か、とっても好きなお話になりましたので更新が楽しみです。また感想書かせてもらいます! (2019年2月25日 22時) (レス) id: 929557de91 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - Runaさん» 敬遠されてたのに読んで下さってありがたいです。苦手なキャラなのに受け入れて下さって嬉しいです(^^)ここからは真面目一徹北山さんになりますので(笑)玉ヶ谷もどう出るかー?ってことで今後もお付き合いお願い致します(^^) (2019年2月25日 21時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2019年1月18日 19時