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泣きじゃくる私と無言の宏光。
ペットボトルの水を半分程一気に飲んだ宏光が項垂れたまんま大きく息を吐いた。
「⋯また泣かせちまった。」
「宏光がっ、いつも期待させるような事言うからでしょ?」
涙を止めようと必死に努力してるけど
止まらないのはやっぱり酔ってるからって事にしとく。
そんな私の顔を覗き込んで来た宏光はさっきまで酔っ払ってたよね?って疑う程冷静な表情で。
「⋯⋯⋯期待してくれんだ。まだ。」
そう言って私の涙を親指で拭ってくるその手を振り払う余裕もない。
「⋯まだ、オレの為にこんな泣いてくれんの?」
「何言って、⋯んんっ、、」
掬い上げるように唇を塞がれて、
一瞬何が起こったのかわからなくて。
どれくらいキスしてたんだろう?
ほんの数秒だったのかもしれない。
いや、数分⋯?
久しぶりの宏光のキスに頭が真っ白で
それでもいとも簡単にあの頃の切ない記憶が蘇ってくる。
大好きで、焦がれに焦がれてた宏光のキス。
激しさを増してく宏光の舌に抗う選択肢なんてなかった。
アルコールのせいか、
気持ちの昂りか。
うまく息が吸えなくて唇を離した時にはお互い息を切らしてた。
とにかく頭がフラフラな中で判断が付かなくて
宏光の目の奥を探るように見つめてしまう。
「⋯なんで拒まねーの?」
「っ、⋯!」
「おまえ、男いんだろ?なにやってんだよ?」
⋯やだよ。
またあの頃みたいに私の事、そんな目で見るの?
オレは遊びなんだから、本気になんじゃねーよっていう、私にとっては冷酷な上からな視線。
やだ。またこの視線に捕えられると
ダメだっていくら頭で命令しても宏光に気持ちが吸い込まれてしまいそうになる。
まるでパブロフの犬のように。
条件反射で私はこの人のこの視線に弱いんだ。
ほんと、何やってんだっ。
太ちゃんの顔が浮かんで、全く拒まなかった自分に嫌気が刺す。
宏光の視線から逃げるように目を逸らした瞬間
力一杯抱きしめられた。
「ばかやろー。オレみたいな奴さっさと忘れろって。」
今度は宏光の方が泣きそうな声をしてて
わけも分からず宏光の香りに包まれてた。
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Haru(プロフ) - moraさん» えーっ、なんでだろう。。そして通知なくてもちゃんと読んで下さってありがとうございます(笑)にしても困ります( ̄▽ ̄) (2019年2月26日 18時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - Runaさん» そう言って頂くと本当に嬉しいです(T_T)ぜひぜひまた遊びにいらしてくださーい(^^) (2019年2月26日 18時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - Haruさーん…。またこのお話通知来なくなったんですけどー…。なぜー…。こんなに楽しみにしてるのにー。通知来なくても、ちゃんと読んでますけど 笑 (2019年2月25日 23時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
Runa(プロフ) - Haruさん» お返事ありがとうございます。敬遠してた反動か、とっても好きなお話になりましたので更新が楽しみです。また感想書かせてもらいます! (2019年2月25日 22時) (レス) id: 929557de91 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - Runaさん» 敬遠されてたのに読んで下さってありがたいです。苦手なキャラなのに受け入れて下さって嬉しいです(^^)ここからは真面目一徹北山さんになりますので(笑)玉ヶ谷もどう出るかー?ってことで今後もお付き合いお願い致します(^^) (2019年2月25日 21時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2019年1月18日 19時