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袖を掴んでる手を取られて優しく握られる。
「⋯A?オレに出来ることはこれだけだよ。Aにはもう他に頼れるやつ、出来ただろ?」
オレの出る幕じゃねーのって。
でも、じゃあなんでそんな顔するの?
心配で堪らないって。顔に書いてあるじゃん⋯
「太輔じゃないと嫌だ⋯」
「⋯それ聞いたら二階堂が泣くぞ?」
タカシに私の過去の事で甘える事なんて出来ないよ。太輔じゃないとっ⋯、「オレがいるからダメなのかな、Aは?」
少し困った顔で微笑んでる。
「オレがいるといつまでも崎本さんのこと思い出しちゃうんじゃない?」
⋯それは無くはない。
でも、太輔のせいで今こんなに悲しい訳じゃないんだよ?
ただ、一人で思い出しただけ。
どん底に突き落とされたあの時の事を。
「Aさんっ!」
「⋯タカシ、」
「足立からAさんがガヤさんに支えられて医務室向かってるって聞いてっ!」
息切らして私の方へ向かってくるタカシに
「ほら、二階堂に甘えてみろ。大丈夫だから。」
タカシに聞こえないようにそう呟いて
貧血みたいだから。側にいてやって?ってそのまま出てった。
「Aさん、大丈夫?」
「ごめん。仕事は?」
「そんなの、後で何とでもするよ!」
心配そうにしてるタカシの顔。
「⋯ミツが、異動になったから?」
「タカシ⋯?」
「寂しくて気分悪くなったの?」
上目遣いで目をウルウルさせて息切らしながらそんな事言うタカシがなんだか可愛くて。
寂しくて貧血になってたら私今まで倒れまくってる気がするんだけど。
どれだけ私、タカシ目線でか弱い女に見えてんだろ?
「⋯違うよ。そんなんじゃないよ。」
そう言いながら横たわったまましゃがんでるタカシの頭を撫でてあげるとホッとしたような表情を見せた。
⋯太輔の言うことも、一理ある。
本社勤務で太輔と久しぶりに顔を合わすのが少し怖かったのも、あの時の事を思い出してしまうから。
振られた私を懸命に慰めてくれて支えてくれて。
その時の記憶で無意識に太輔に甘えてしまうのかも。
でも、今の私は太輔がいなくてもこうしてなんとか他の事で気を紛らわせてやってけるんだ。
⋯タカシの顔を見てるだけでも気分がどんどん落ち着いて来てる。
「タカシ、来てくれてありがと。」
そう言ってタカシがいる安心感で目を閉じた。
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Haru(プロフ) - ぴのさん» わざわざこちらにも!ありがとうございます!ほんと、ぴのさんのコメがずっと引っかかっててお陰様で物語のエンドが見えてきました(^^)ガヤさんの気持ちなんて考えもしてなかったので(笑)こちらこそ、ありがとうございます! (2018年11月20日 10時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - ありがとうございますm(__)m 私の妄想で…ガヤさん、嫉妬させていただき…なんだか、私も作品に参加できた気持ちで、嬉しいです。毎日 更新が楽しみです。 (2018年11月19日 19時) (レス) id: 084bdea948 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - ぴのさん» ガヤさん、来ましたよぉー!(笑)ガヤさん、今後四角関係参入できるか!?まだわからないですがそちらもハラハラしながら続き見ていただければと思います♪ぴのさんを思い浮かべながらガヤさん嫉妬させてみました(笑) (2018年11月16日 17時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - きたきた〜ガヤさんの、ほどよい嫉妬(>_<) タカシの存在の大きさも、ハラハラです!でも…やっぱり北山君なんですよね。弱気な北山くんに、どう向き合うのか楽しみです。 (2018年11月15日 16時) (レス) id: 084bdea948 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - kanonさん» 断腸の思いですよ、タカシぃ(TT)タカシが報われるようにしたいんですがまだノープランです(いまだに笑)続きすみません^^;今アップしましたのでまた読んで下さいね♪いつもお忙しい中コメントありがとうございます(^^) (2018年11月15日 14時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2018年10月1日 13時