君のその手に ３

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目を覚ました北山に、病院だと告げるとすぐまた目を瞑ってしまう。



⋯大丈夫なの？



診てもらった先生いわく、だいぶ体が憔悴してるから一晩入院した方が良いってことだったけど、逆に言えば一晩で家に帰されるって事でしょ⋯？



こんな状態で家で一人でどうやって療養すんだろ？って心配しかない。








北山のマンションに着いてインターフォンを鳴らしても出てくれない予感はしてた。



案の定、立ち尽くしてるとそこに住んでる人が出てきてその隙に入ることに成功。



後はどうやって部屋のドアを開けてもらおう？って考えながらチャイムを鳴らすも、やっぱり応答はなくて、無意識にドアノブを回すと鍵は掛かっていなかった。




ガチャリとドアを開けて北山ー？って呼びかけながら玄関に入らせて貰ったら⋯







ほんとにびっくりした。目の前の廊下で倒れてんだもん。



すぐに駆け寄って声をかけても全然反応しないし怖くなってすぐに救急車を呼んだんだ。







・・・来てよかった。



もしこのまま放置してたらどうなったのか？なんて考えると恐ろしくて体が震えて⋯



救急車が来るまでの間も北山がどんな状態かわからないしとにかく怖くて怖くてただ、北山を抱きしめる事しか出来なかった。




顔色も悪すぎるし、何よりこの前会った時よりも遥かにやせ細っていて、何か重い病でも患ってるのかって良くない事ばかり頭をよぎった。



先生から病状を聞いた時には大した病気じゃなくて良かったって気を張ってた体から力が抜けてくのがわかったけど⋯






そもそも栄養失調って何？



この前もそういえばお酒飲む所しか見てない気がする。



北山にとっては桐谷部長を失った事は食事も喉を通らないくらいの痛手なんだ。



私は崎本さんと別れた時に常に藤ヶ谷がいてくれてた。



当時、私も同じように食欲が無かった事を思い出す。



でも藤ヶ谷がそんなんじゃダメだって何かしら食事に連れてってくれたり、休みの日も無理やり家に押しかけて来て何か作ってくれたりしたっけ⋯？




そう考えると、北山の側には誰もいなかったじゃんって。



毎日メールしてるだけで満足してた私は結局なんの力にもなれなかったんだって。



自分の非力さに嫌気がさした。

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