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咳が激しくて止まらなくなった北山の背中をさする。
「⋯ごめんイト、もう食えねー。」
「いいよ、薬飲も?」
さっき貰ってきた薬が入ってる袋を出して来てお水を入れに行く。
ゼェゼェ言いながらも北山の視線を感じるから何だか戸惑う。
「⋯オレさ、今理性を保ててるのは、おまえの彼氏が二階堂だからだわ。」
「理性?そんな弱ってんのにそんな事言えるなんてすぐ元気になりそうだね。」
なんて事ないみたいに装って言うけど内心ドキドキして北山の顔が見れない。
薬を出してあげてお水を渡そうとすると
不意に熱を持った北山の熱い手のひらが私の手を包んだ。
「⋯⋯もうオレの事なんて全然好きじゃなくなっちゃった?」
・・・やめてよ。ずるい。
そんな事言うのは反則だよ⋯。
握られた手が熱くて熱くて、
そこから北山の熱が私の心に伝って、直撃してるんじゃないってくらい胸が熱くなって涙が零れそうになる。
「⋯泣くなよ⋯」
堪らず頬を伝う涙を見た瞬間、北山の手が離れてく。
「⋯わり。最低だ、オレ。」
「そうだよ。こういうの嫌だ。」
私の気持ちをこれ以上かき乱さないで欲しい。
短い沈黙の後イト?って。
「これ以上いてもらったらマジでオレ勘違いするから。帰って?」
そう言われたらもう帰るしかない。
わかったって静かに頷いて北山の家を後にした。
夕飯も作っといてあげたらよかった。
ちゃんと食べて薬飲むかな?
咳が出た時の吸引器、ちゃんと使うかな?
家に帰りながらも北山の心配ばっかり。
・・・ずっと逃げてたんだ、タカシの事を考えるの。
タカシに電話しなきゃ。
ちゃんと帰ってきたよって。
おせーよっ!って怒られるかな?
おかえり!ってまたあの満面の笑みを見せてくれるかな?
・・・どちらも贅沢だ。
そんな風に迎え入れてくれる訳ないのに。
そんな事を思いながらマンションの前まで辿り着くと、タカシが立ってた。
「⋯タカシ⋯。」
「⋯おせーよ、Aさん、」
怒るでも
満面の笑みでもなく
ただただ、悲しそうな顔のタカシに胸が傷んだ。
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Haru(プロフ) - ぴのさん» わざわざこちらにも!ありがとうございます!ほんと、ぴのさんのコメがずっと引っかかっててお陰様で物語のエンドが見えてきました(^^)ガヤさんの気持ちなんて考えもしてなかったので(笑)こちらこそ、ありがとうございます! (2018年11月20日 10時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - ありがとうございますm(__)m 私の妄想で…ガヤさん、嫉妬させていただき…なんだか、私も作品に参加できた気持ちで、嬉しいです。毎日 更新が楽しみです。 (2018年11月19日 19時) (レス) id: 084bdea948 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - ぴのさん» ガヤさん、来ましたよぉー!(笑)ガヤさん、今後四角関係参入できるか!?まだわからないですがそちらもハラハラしながら続き見ていただければと思います♪ぴのさんを思い浮かべながらガヤさん嫉妬させてみました(笑) (2018年11月16日 17時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - きたきた〜ガヤさんの、ほどよい嫉妬(>_<) タカシの存在の大きさも、ハラハラです!でも…やっぱり北山君なんですよね。弱気な北山くんに、どう向き合うのか楽しみです。 (2018年11月15日 16時) (レス) id: 084bdea948 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - kanonさん» 断腸の思いですよ、タカシぃ(TT)タカシが報われるようにしたいんですがまだノープランです(いまだに笑)続きすみません^^;今アップしましたのでまた読んで下さいね♪いつもお忙しい中コメントありがとうございます(^^) (2018年11月15日 14時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2018年10月1日 13時