君のその手に

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部屋の中の冷蔵庫開けていい？って。


無言で頷く私を見て冷蔵庫を開ける藤ヶ谷。





「さんぴん茶入れすぎだろ。」



笑いながら一本貰うぞって私の分と二本のペットボトルを持ってきた。





「これ、沖縄で飲むと上手いんだよね。」



そう言いながらゴクゴクと喉を鳴らして飲む藤ヶ谷に釣られて私もキャップを開けた。



一口喉に流し込むと
爽やかなジャスミンの香りが鼻に抜けて
今の私の気持ちとは正反対な爽快感に少し気持ちが落ち着く。








「⋯なに？その手首」



私を見てた藤ヶ谷が急に顔を強ばらせて私の手の方を見てる。



ペットボトルを持ち替えて自分の右手を見てみる。




「⋯なに？これ。」




「⋯北山に何された？」





なにって⋯




ちょっと唇が当たっただけだよ。




でもどうして私の手首はこんなに赤黒く手の跡が付いてるのかな…





難しい顔してる藤ヶ谷が私の手を取ってアザになってる所を優しく撫でる。




「⋯オレ久々に震えるくらいムカついてんだけど。」



行動とは裏腹な言葉に焦ってくる。
藤ヶ谷が怒ると本気で怖いんだもん。



「藤ヶ谷？大丈夫っ、ほら、私、今の今までこんなの付いてるなんて気付かなかったくらいだし。これ、どこかでぶつけちゃったんだよ、きっと！」



⋯手の指がクッキリ付いてるのに我ながら苦しい言い訳してる。




「⋯なんで急に北山に無理矢理キスなんかされちゃったわけ？」




やっぱりニカちゃんから聞いたんだ。
静かに聞いてきてるけど、すごく怒ってる｡






「藤ヶ谷知ってたんだね？北山と桐谷部長の事。」



「⋯見たの？」



「すんごいイチャついてるの。非常階段で。イケナイもの見ちゃったから北山も動転したんだよ。」



⋯自分で言いながらよくわかんない。




どうして北山は私にあんな事したの⋯？

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