君のその手に

３３ 北山side ページ33

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「朝飯も食いに来ないで朝からお盛んだね。」


「⋯羨ましいだろ？」




適当に返事しながらとりあえずシャワーしにバスルームへ向かった。



集合時間も迫ってたし急いで準備する。






・・・ん？





「イト、ここで寝た？」


「寝たよ。相沢とイチャついてる隣りの部屋とか嫌だろ？」





でもベットが一つしか乱れてない。


オレの視線に気付いてギロって睨まれた。





「Aさんの名誉の為に言っておくけど何もしてねーから。」


「⋯同じベットで寝てか？」


「そーだよ。文句あるか？」


「⋯ねーけど、お前、好きな女と一緒に寝てよく我慢出来たな？」






うるせーわ、って更に不機嫌になりながら






「ミツは？相沢と付き合ってんの？」



真面目な顔して聞かれる。



「⋯付き合ってねーよ。」



そう言うオレにため息付いて、やっぱりミツは最低だ、そう吐き捨てて部屋を出てった。



わかってるって。



でも先輩のオレにはっきりとオレのしてる事を最低と言い切る二階堂にオレは好感が持てる。


イトは二階堂と付き合えばいいのに、なんてふと思った。








・









観光バスに乗り込むと相沢が一人で座ってるのが見えた。



オレの顔を見るなり困ったように微笑む相沢の隣りへ座る。





「⋯隣り、来てくれて嬉しいです。」


「⋯今日一日は一緒なんだろ？」




はい、って言いながら良かったら食べませんか？ってサンドイッチを差し出される。




⋯朝食食ってねえのバレバレで他の人に勘ぐられそうで一瞬躊躇ったけどまあ、どうとでも誤魔化せるか、と決め込んでサンキュって手に取った。




「うま⋯」




昨晩から酒しか腹ん中入れて無かったことを思い出した。




「何も食ってねえのに夜に運動し過ぎたから美味すぎるわ。」




食いながら冗談交じりに相沢に言うと
あははって声上げて笑って、北山さんっ！なんて顔赤くしてる。



「⋯おまえってそんな風に笑うんだな。」



え？って顔してるけど



オレは笑った顔すら知らない相沢の気持ち弄んで都合よく利用したんだ。



ほんと、最低だ。



せめて今日一日は相沢と向き合って
会社の後輩として楽しませてやんなきゃって



それが罪滅ぼしになるかはわかんないけど
そんな気持ちになりながら相沢に今日は楽しもうな？って笑いかけた。

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