32 北山side ページ32
目が覚めたらすっかり朝食の時間は過ぎてて慌てて飛び起きた。
ぱっと隣りを見ると寝息も立てずにぐっすり眠ってる相沢がいてほんとに無理させたなって⋯
思わず相沢の髪の毛を撫でてやると
相沢に対して情みたいなのが湧き上がってきてヤバイなって思う。
「⋯相沢、起きて。」
オレの言葉にしばらくしてからぼんやりと目を開けた虚ろな目が色っぽくて思わず目を背けた。
おかしいよな?さっきまで散々抱いてた子なのに今更その色気に動揺するなんて。
すぅっと相沢の両腕が伸びてきてオレはされるがまま相沢に体を預けた。
「おまえ、あったけーな。」
冷房が効いた部屋で相沢の体温に包まれると
なんだか無性に安心して無意識に抱きしめ返した。
「⋯もういないかと思った」
涙声で、まだいてくれたって呟く相沢に胸が傷んだ。
⋯これ以上はもうダメだ。
「相沢、ごめん。マジでもうやめよ。」
オレの為じゃない。
相沢の為にこんな事もう続けらんない。
途端顔を上げてオレを食い入るように見る相沢。
「⋯私、嫌われましたか?」
「⋯そんなんじゃねぇよ。」
「じゃあ、どうして?せめて東京に帰るまでっ、」
最後の方は諦めたように言葉を失ってる。
「オレ、好きな人いる。」
「⋯なんとなく気付いてました。」
「だから相沢の事傷つけるだけだわ、オレ⋯」
「私はそれでもいいって思ってますっ⋯、」
「⋯よくねーよ。」
でも、相沢には救われた。
オレの膝元で泣き崩れる相沢に
おまえはちゃんとした男と付き合えっ、って一言言うのが精一杯だった。
・
あいつら、まだ部屋にいんのかな?
二人で同じ部屋で寝たとして二階堂とイトに何かがあったとは想像しにくいけど一応二階堂に電話をかけてみる。
『⋯なに?』
あからさまに不機嫌な声で電話に出てる。
こりゃなんもねーな。
「オレの部屋戻ってもい?着替えたいし。」
『いーよ。もうAさんいないし。』
「撃沈か?」
からかうように言ってやるとうるせー!って電話が切れた。
「一旦部屋戻るから。」
相沢にそう告げると
「今日一日だけは昨日みたいに北山さんと一緒にいていいですか?」
夜は一人でいいですからって⋯
相沢に対しての罪悪感もあったし
それならいいよ、と言い残して部屋を後にした。
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Haru(プロフ) - にかみつばさん» 初めまして(^^)そんな風に言って頂けるとはっ。ありがとうございます!ニカ担さんですかね?これからニカちゃん出番たっぷりありますので楽しんで頂ければ嬉しいです♪ (2020年5月31日 20時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 初めまして。ストーリーに引き込まれるようにここまで一気に読ませて貰いました。本当に小説を読んでいるような気持ちになりました。 (2020年5月31日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - パンダさん» な、なぬ?!(笑)鼻血ですか?だ、大丈夫ですかっ?恋愛マゾ。私もそうかもです(笑)これからこの溺れてるみっくんをどう陸地に上げるか今超悩み中で^^;しばらく溺れさせときますので今度はティッシュ必須で見てやってください(笑) (2018年9月5日 17時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
パンダ(プロフ) - Haruさん、ご報告です!無茶苦茶になってる北山くんに興奮したのか鼻血出ました(笑)恋愛マゾ気味の私は、イトちゃんの恋より北山くんの苦しさに共感してしまいます。女なのに…。深く溺れるみっくんたまらないですー (2018年9月5日 16時) (レス) id: a68f49692e (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - ノリコさん» イトちゃんの苦しさが堪んないですよね。北山くんも辛いです。イトちゃんも今は苦しいですがそのうち光が見えてきますので懲りずに読んで頂けたらと思います。終わりの方は苦しさだけじゃなく楽しい展開に出来るようにしたいと思ってます♪ありがとうございます! (2018年9月3日 0時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2018年8月15日 20時