君のその手に

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「おまえいつまでそれ眺めてんの？」


「だって初めてのAさんからのプレゼントだよ？嬉しすぎるじゃんっ！」




⋯いや、プレゼントってほどの物じゃないよ。




あの後お土産屋さんでこれがいい！って言われてウミガメのキーホルダーを買ってあげた。



それをずーっと手に持ってるニカちゃんに藤ヶ谷と顔を見合わせて苦笑いする。





「しかし二階堂がそこまでAに入れあげてるとはな。」


「⋯しかしガヤさんがAさんの元カレだったとはな⋯」




面白くなさそうに藤ヶ谷をジト目で見てるニカちゃんに若干アタフタしちゃう。



結局ホテルで参加メンバーと食事をした後
この三人で飲みに来た。



きっとあの様子じゃ北山はずっと相沢さんといるんだろうし、二人を見なくていい所にニカちゃんが連れ出してくれたんだって思ってる。



出る時に藤ヶ谷と遭遇して、抜けがけはダメでしょ？とか訳のわからない事言いながらついてきてるし。







「もうこうなりゃ北山は諦めて二階堂にするか？」


「ガヤさん、ナイスっ！それがいいよ、Aさんっ。」


「⋯北山の事はとっくに諦めてるよ。」





でもだからってニカちゃんはないでしょ。



「⋯どこが諦めてんだ？諦めてんならそんな顔すんな。」




そもそもあのちっちゃいおっちゃんのどこがいいわけ？
なんて言い出してる藤ヶ谷に
ニカちゃんもそーだそーだ、って乗っかってるし。



「⋯ちっちゃいおっちゃんでも私には王子様に見えるんだよ。」




あ、やば。酔っ払ってて変な事口走った。




途端黙り込む二人をそーっと覗き込むと
藤ヶ谷はやれやれって顔してるし
ニカちゃんはガーンって顔して項垂れてる。





「王子様ならお妃一人を大切にすんじゃない？」




静かに頭を上げて言うニカちゃん。





「⋯一夫多妻制なんだよ、北山王国は。」






開き直って北山を擁護する私に今度は二人ともため息ついて手持ちのビール一気飲みし出してるし。



私もつられて自分のビールをぐいっと飲み干した。

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