君のその手に

２６ 北山side ページ26

那覇空港を降り立って出口を抜けると爽やかな風が通り抜けて青空が広がる。



同時に焼けるような陽射しに照りつけられてオレは眉をひそめた。



「わぁー、南国ですねっ」



って当然のようにオレの隣を陣取って離れない相沢。



正直、体の相性は良かったから
仮に一ヶ月会い続けるのは問題ないな、とか最低な事考えながら隣りで嬉しそうにはしゃぐ相沢を見る。



この沖縄で、麗香さんが旦那と常に行動するなら
オレは相沢と一緒にいて逆に見せつけてやるんだ、って腹を括った。



そのまま観光へ向かうバスに乗り込んだら
窓側に座って窓の中から麗香さんを無意識で探してしまう。








⋯いた。
いつ見ても旦那と仲良さそうなんだよな。



なんでオレと会ってんだろ？


きっと旦那にもオレに見せてる顔を、


いや、もしかしたらそれ以上の表情を見せてるんだと想像するだけで悔しくて腸が煮えくり返る思いだ。



それでも冷静に



しばらく二人の様子を無感情で見つめてから
大きなため息を付いて座席に座り直す。







「なんのため息だよ？」


「うわっ！」


「接待旅行で自社の女はべらして、いいご身分の癖に何を憂いてんだ？」




気付けば、相沢が座るはずの隣りに藤ヶ谷が座ってる。




「相沢は奥に座ってもらった。」


「⋯ヤローが隣りだと狭いんすけど？」


「よく言うわ、おまえちっちゃいんだからそんな不自由しねえだろ？」





ほんっとこいつ、いちいちムカつくっ。





「お前、相沢と付き合うのか？」


「⋯おまえに関係ねーだろ。」


「本命と別れて相沢にするならオレも特に口出すつもりはないよ。」





あいつ、可愛いだろ？
計算高くて自分の魅力わかってるいい女だし、って。





「⋯褒めてんの？それ。」


「そういう女、好きだろ？おまえは。」




途端カッとなって藤ヶ谷を睨むと涼しい顔してるから余計ムカつく。




「あの人はそんな女じゃねぇよ。」




オレの言葉にふぅーって息を吐いて呆れ顔かよ。





「⋯やっぱり本命はそっちか。」


「なんだよ？ほっとけってっ」


「なんで相沢なんだよ？Aがどんな気持ちか考えねぇの？」


「⋯なんでイトなんだよ？あいつとは何もねーだろ？」






そもそも告白されて断ったし、とやかく言われる覚えないっつの。

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