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「ほら、イトちゃん!海っ!青い海見えて来たよっ!」
「⋯ほんとだ。」
「いい天気で良かったよねぇっ!」
「うん。そうだね。」
「⋯イトちゃん、いい加減元気出してよ?」
「二階堂、ちょっと静かにしとかない?」
藤ヶ谷にたしなめられてニカちゃんが押し黙る。
沖縄へ向かう飛行機の中。
窓際にニカちゃん、通路側に藤ヶ谷。
その真ん中に挟まれて気を使わせてるのは百も承知だけどどうしても気分が落ちて笑えない。
一昨日、ニカちゃんとご飯行った帰りにまた見ちゃったんだよね。
相沢さんと歩いてる所⋯。
「わ、今日は相沢かよ。」
って言うニカちゃんの言葉も虚しくて
行こって、見ない振りして二人で駅へ向かった。
「⋯まぁ、ミツはあんな事言ってたけどほんとに何かあるかって決まった訳じゃないじゃん?」
そう慰めてくれるニカちゃんに
そうだよね。二人でいるからって何かあるかなんて決めつけるのは良くない、なんて話して別れた。
なのに今。
なぜか私の隣に座るはずだった北山は藤ヶ谷とチェンジして昨日一緒だった相沢さんの隣りに座ってる。
「相沢が少し北山と話したいって言うから代わった」
そう言いながら私の隣にドサッと座って来た藤ヶ谷だけど、少しどころかもう沖縄に到着するんですけど?
通路を挟んで斜め向かいに座る相沢さんが
チラチラ見えるんだけど楽しそうに話してて
やっぱり一昨日の夜は北山とずっと一緒だったのかな?なんて⋯
「藤ヶ谷?北山の彼女って相沢さんじゃないんだよね?」
業を煮やした私の質問にため息を付きながら
「あいつら、いつの間にあんな仲良くなってんだろな?北山の事はよくわかんねぇよ。」
って投げやりな藤ヶ谷。
「⋯ミツもついに一人の女に絞ったのかなあ。」
ニカちゃんの言葉が胸に刺さる。
⋯じゃあ本命の彼女とは別れたのかな?
結局、私はずっと蚊帳の外だ。
私も一度くらい抱いて欲しいって
無い色気振り絞って迫ってみたらその願い聞き入れてくれたのかな?とか馬鹿な事思う。
バカ正直に告白なんかして
結局北山には女として見てもらえなかった。
でも私は一度だけの女になりたかった訳じゃないから。
どちらにしても北山の心は手に入らないってことなんだな。
虚しくてやりきれなくて
隣で心配そうに私の顔をのぞき込むニカちゃんに薄く微笑む事だけで精一杯だった。
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Haru(プロフ) - にかみつばさん» 初めまして(^^)そんな風に言って頂けるとはっ。ありがとうございます!ニカ担さんですかね?これからニカちゃん出番たっぷりありますので楽しんで頂ければ嬉しいです♪ (2020年5月31日 20時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 初めまして。ストーリーに引き込まれるようにここまで一気に読ませて貰いました。本当に小説を読んでいるような気持ちになりました。 (2020年5月31日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - パンダさん» な、なぬ?!(笑)鼻血ですか?だ、大丈夫ですかっ?恋愛マゾ。私もそうかもです(笑)これからこの溺れてるみっくんをどう陸地に上げるか今超悩み中で^^;しばらく溺れさせときますので今度はティッシュ必須で見てやってください(笑) (2018年9月5日 17時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
パンダ(プロフ) - Haruさん、ご報告です!無茶苦茶になってる北山くんに興奮したのか鼻血出ました(笑)恋愛マゾ気味の私は、イトちゃんの恋より北山くんの苦しさに共感してしまいます。女なのに…。深く溺れるみっくんたまらないですー (2018年9月5日 16時) (レス) id: a68f49692e (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - ノリコさん» イトちゃんの苦しさが堪んないですよね。北山くんも辛いです。イトちゃんも今は苦しいですがそのうち光が見えてきますので懲りずに読んで頂けたらと思います。終わりの方は苦しさだけじゃなく楽しい展開に出来るようにしたいと思ってます♪ありがとうございます! (2018年9月3日 0時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2018年8月15日 20時