君のその手に

２４ 北山side ページ24

「北山さんて一度寝た子とは会ってくれないってほんとですか？」



⋯服脱がそうとしてる時にそれ聞く？


なんだか萎えちゃって一旦手を止めた。


備え付けの冷蔵庫からビールを取り出す。


飲む？って聞いたら、はいってニッコリ笑うこの子
⋯相沢日奈子。






マジでやべーかもな。
社内の子手当たり次第で上にバレたら立場ないわ。



そろそろこんな事も止めなきゃかな、って思いながらビールを渡してやる。



しかもこの子、藤ヶ谷と同じ課の子。
藤ヶ谷にバレてまたドヤされるかと思うと気が重くなった。




「⋯嫌なら帰って？」




ビールを飲み干してそう言うと
同じようにぐびぐびとビールを飲んでから



「帰る訳ないです。」




だって。
あ、そ。じゃめんどくさい事言うなっつの。





「じゃ、さっさと始めようぜ」




相沢の持ってるビールを受け取ってブラウスのボタンに手を掛けたら




「私、北山さんの事好きです。」




手を掛けてるオレの手を取って見つめられる。




「⋯そういうのはちょっと困るんだけど。」




ダメだ。
割り切れない子を選んだ自分に後悔したけど遅い。




「一ヶ月。一ヶ月でいいです。私とこうして会ってくれませんか？」







・






オレは今日無性にイライラしてた。



明後日行く沖縄では麗香さんの部屋に忍び込んで朝までいるつもりだったのに⋯



急遽、旦那の小沢専務も参加する事になったとか言うんだ。




⋯オレにとっての年一の麗香さんと過ごせる楽しみが奪われた。



何の為にめんどくさい接待旅行なんて毎年参加してたと思ってんだよ？



麗香さんもオレには落ち込んで見せてたけど
内心どう思ってんのかわかったもんじゃないし。


むしゃくしゃついでに相沢をホテルに連れ込んだんだ。






・







「おまえ、そういや明後日、沖縄行くんだよな？」


「はい。行きます。」


「⋯じゃあ、沖縄で部屋行っていい？」




麗香さんといるはずだった時間、一人でいるのは耐えられないと思った。



オレの言葉に途端顔を上げてもちろんですっ！て言う相沢を今度はベットに押し倒した。



「⋯一ヶ月続けるかはそれから考えさせて？」



オレの最低な提案にもしっかり目を見てわかりましたって。






⋯こんなオレのどこがいいんだろ？

２５→←２３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す