北山さんに恋する彼女達

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私、一生髪の毛洗わない･･･。



そんなバカな事本気で思いながら
上司、先輩方に一人一人お酒を注いで回る。


･･･北山さん、まだ来てないんだよね。


結局まだ仕事が終わらない北山さんが到着したのはもうお開きの寸前。


「やっと来たあー。」



「おい、鈴木っ。
北山さん酔った勢いで口説くんじゃねえぞ？」


なんて同じく新人で同期の今田に窘められる。


･･･同期は全員私の北山さん好きを周知してる。


同期だけで飲みに行くと会社の話ししかしないから自然と社内のイケメンと、美女の話で盛り上がったりするから。


とにかく北山派か大倉派で二分すんだよね。

私以外にも北山さん派は沢山いる訳で特別でも何でもないんだけど。


酔ってるからふらふらと来たばかりの北山さんに吸い寄せられるように近付いた。


「お疲れさまでーす。」


「おっ、鈴木、来たか！
ってもう出来上がってんじゃねえかっ。」


仕事してない北山さんは
思った以上に気さくで明るくてなんだか新鮮。


「はいっ！楽しいです！北山さんもどーぞ。」


ビールをお尺しようとするんだけど、酔ってるからか近距離に北山さんがいる緊張からか


わかんないけど瓶を持ってる手がぶるぶる震えて零さないように真剣にグラスに注いだらすごい笑われた。


「鈴木は常に一生懸命だから気持ちいいわ。」


笑い過ぎて涙が出てる目元を拭いながら言ってて...


ほ、褒められてるっ。


北山さんにっ！



今日は頭ポンポンして貰って
なんだか知んないけど一生懸命って言って貰えてっ！
こんな日が社会人生活で訪れるなんてっ。


感動に浸ってたら


「よし！今日からおまえはリンだな！」


･･･りん？


「鈴木だからリン。いいっしょ？」


「また北山が謎のあだ名付け出してるぞ？止めてあげな。」


って隣りにいた岡本さんが笑ってる。


「なんでだよ？カンだってナイスネーミングだろ？あれオレが名付けたのに今キャンキャンとかに変換されてんじゃん？あれの方が謎だわ。」


キャンキャン？！


「キャンちゃんの呼び名、北山さんが考えたんですか？」


「いやだからオレはカンって呼んでたの。そしたら派生してわけわかんないキャンキャンになってんだろ？今。」


･･･リンってものすんごい素敵なあだ名じゃない？


その内私もキャンちゃんみたいに後輩から憧れて慕われる人になれるんじゃないかな？


北山さんが名付けてくれたあだ名なら間違いない気がした。

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