北山さんに恋する彼女達

※ ページ6

「･･･キャンちゃんか。
それなら私許せるよ。」


「上からだね(笑)」


昨日もすれ違った時に
真っ赤な口紅が映えて大人の色気増してたし。


似合い過ぎてて見とれたもん。
私が同じ色付けてもあーはなんない。


私なんて所詮入社したての
若さしか取り柄のない小僧だよ、小僧。


「･･･失恋？」


「失恋なんておこがましいよ。
憧れの先輩なんだから。」


って言いながらも気分は落ちてしょうがないけど

これは恋じゃないもん。
憧れてるだけって自分に言い聞かせてる。
そもそも１０歳以上離れてる私なんて
相手にされる訳もない。


「でも1課の新人歓迎会、今日なんでしょ？
頑張っておいでよ！」


せめて可愛い後輩だって思って貰いなって肩を叩かれた。



そうだね。うん。
彼女なんて、初めから望んでないもん。
少しでもお近づきになれればそれで満足。


気を取り直してデスクに戻ると
北山さんももう自席に付いてお仕事中。


･･･いつ休憩してんだろ。
凄いな･･･。


自分の席に座るとさっき北山さんに渡したはずのメモがチョコレートの下に置いてある。



ん？なんだろ。


メモを開くと
私が伝えたはずの専門用語の数々が
少しずつ間違ってるみたいで、丁寧に赤ペンでバツの上に正しく書き直されてる。


最後、(８０点、惜しい！！)って、綺麗な字で書いてあって･･･。


こんな間違ってるのに惜しいって書いてくれる北山さんの優しさにジーンときた。


思わず北山さんの方を見ると、んーって伸びして今からデスクでパン食べるみたい。


迷わずメモを持って駆け寄った。


「あのっ、北山さんっ。たくさん間違えてる所、ご指摘ありがとうございましたっ。」



私の勢いにちょっと仰け反ったけど


「あー、よく聞いてた方だよ。ちゃんとわかったし。意味わかんねぇだろ？徐々に覚えるよ。」


優しくニコッてしてくれた。


その笑顔が素敵過ぎて見とれてると


「鈴木、いつも電話取ってくれてサンキューな。
全部伝言だから大変だろ？悪いとは思ってんだけどさ。」


「そ、そんな！私に出来る事これくらいですから！」


私、これから掛かってくる電話全部取る！
今固く誓ったっ！！


私の勢いにまた笑って頑張れよって頭ポンポンしてくれた。



･････････。



頭ポンポン･･･？





･





今私に人生最大の幸福が訪れました。。。

※→←先輩の北山さん。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す