北山さんに恋する彼女達

※ ページ39

･･･でももうダメだ。



最近になって佐野さんの事
以前よりももっと自分の物にしたくて堪らなくなってる。



･･･望み薄な彼氏持ちの佐野さんより
フリーでオレの事とことん可愛がってくれる仲村さんを選べばいいじゃんっていう打算すら考えらんないくらい佐野さんの事で頭いっぱいになっちゃったんだよな。







「久しぶりだね。」


「うん。」




･･･最近になって佐野さんの想いを再確認したオレは、Aさんと会えなかった。

でも久々に会うAさんはいい女でしかない。







･･･言えねぇよ。
もう会わないなんて。

嫌だ。無理。



自分の意志の弱さに辟易しながらも
目の前のAさんの温もりが欲しくて
いつもみたいに抱きしめた。



いつもみたいにオレの頭を撫でてくれてたAさんの手が止まる。



「･･･宏光？言いたい事あるなら言って？」




･･･やっぱ誤魔化せない。
最初から最後までAさんにはありのままの弱い自分をさらけ出すしかないんだ。



「Aさん･･･オレ･･･。」





言えよ。
他にもっと好きな子がいるから終わりにしようって。



頭でいくら命令しても声が出ない。


わかってる。
どっちもなんて今までが虫が良すぎたんだ。



でもAさんともう会えなくなるなんてどうしても耐えられない。





「宏光？今日は甘やかしてあげない。
ちゃんと自分で言って。」



無意識にもう会わないって言葉をAさんに言わせようとしてるオレはとことんAさんに甘えてる。



･･･どこまで狡いんだよ、オレ･･･。




最後くらいちゃんと男らしい所Aさんに見せたい。



「Aさん、オレ好きな人いる。」


なんでオレが泣きそうなんだよ。
かっこ悪すぎだろ？


「･･････うん。」



「だからもう会えない。」


言い終わってから堪らず自分の唇を血が出るんじゃないかと思う程噛み締めた。



「･･･うん。わかった。」


Aさんの表情が読み取れない。


そもそもAさんはオレの事好きだったのかな？


本気で彼女になってもらいたいって思う時だって多々あったけど取り合ってはくれなかった。



･･･あの時OK貰えてたらきっとオレは佐野さんの事は考えなくなってたはずだ。



それくらいAさんにハマってたのは嘘じゃない。

※→←取引先の仲村さん。

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