北山さんに恋する彼女達

同期の大倉とカン。 ページ36

ここ最近の社内は
大倉とカンの事で噂は持ちきりだ。



とにかく大倉がカンをどこでもかしこでも見境無く口説きまくってるっていう･･･。


カンももう適当にあしらうようになったみたいでそれがまるで夫婦漫才のようだと。









「極端なんだよ。」


「なにがー？」


「今までの関係考えたらそんな露骨にグイグイ口説いてカンが戸惑うだろ？」


そんなんじゃ落ちるもんも落ちねぇだろ。



そんなオレをへぇーって余裕の顔で見下してる。
この身長差がたまにイラつく。



「･･･おまえ、そんなスタンスで狙ってる子落とせんの？」


「どういう意味だよ。」


「･･･カンの場合はマジで死にものぐるいじゃないとオレの事見てくれへんと思うねんなあ。」


まだ好きな人の事忘れられへんみたいやし？って、ジト目で言われてちょっと焦るわ。


「おまえはそんな余裕で好きな子落とせんねや。相手ももう告白されんの待ってんちゃう？」


「･･･そんなんじゃねぇよ。」


なにがやねん？
オレは必死やねんからおまえ黙っとけってムクれてる。






大倉の言いたい事はわかるけど、社内で口説くのは違うと思うしカンだって困るだろ？って。


･･･でも確かにオレは既に体の関係がある分余裕かましてんだろな。


それがもしかしたら一番口説きにくい要因だってのもわかる。


今更本気で付き合いたいって言った所で
あっさり跳ね返されるに決まってんだ。


どう攻めるべきか
なんて頭で考えてる時点で大倉には敵わねぇって事かも。





「あっ、カンやっ！」


カンーっ！！ってまだ遠くにいるカンにでっかい声で叫んで手振ってる大倉にため息出るわ。


カンも周りチラチラ気にしながらこっちへ来た。


「大倉っ！いい加減にしてって！北山、助けてよ？」


「オレも言ってんだけど聞かねえよ。」


もーってマジ切れしてるカンとの関係は
カンの気持ち気付いたあの日から今も何も変わってない。


これで良かったんだ。






「カン、今日も家行くで？お土産何がいい？」


「今日も来るの？！たまには1人になりたいんですけど？」


「え？ちょっと待て。おまえら既にそんな仲なの？」


「ち、違うよ？大倉が来ないでっていくら言ってももうドアの前で待ってんのよっ。」


ストーカーなのって怒ってるけど･･･


なんだ。上手く行きそうじゃん。

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