北山さんに恋する彼女達

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「･･･悪いけど本気や。」


本気･･･？



酔った頭でいくら考えても
大倉が何を考えてんのかさっぱりわかんない。



「こうしてるの、嫌じゃない？」


「嫌ではないけど･･･。」



もはや大倉に抱きしめられた所で特別な感情は湧いてこない。それくらい私達は男女の垣根を超えた仲じゃなかったっけ？


･･･ってそれ、北山も私に対して抱いてた感情だと思うと悲し過ぎるわ。


ゆっくり大倉が離れてって至近距離で目が合う。


「じゃあ、キスしてもええ？」


それはダメでしょって言う隙も与えられない間でチュって。すぐ顔離してにんまりしてる。


「ちょっと大倉、からかうのもいい加減にしてよ？」



なんで今傷心の私に次々訳わかんない事仕掛けてくるの？


本気で腹たってくる。


「ちゅーすんの、いつぶり？」


「余計なお世話っ！！」


そんなの北山を好きになって数年全く無いって知ってる癖にっ。


「そろそろ違う男にも目向けてみーひん？」

オレとか。って。




「･･･大倉、なんか知ってる？」


「北山と飲んでたんやろ？あいつ狙ってる女の子いるって？」


「･･･知ってたんなら教えてよ。」


本人から聞く前に心の準備欲しかったのに。


「さっき北山から聞いたから。」


「･･･それで来てくれたの？」


「きっと一人で撃沈して落ちてるやろなって思ってさー。」


告白なんてどうせせーへんかったんやろって。



何もかも見透かされてる大倉に
もう取り繕う必要ないなって気が抜けたら
途端涙が溢れた。



涙を拭う気力もなくそのままソファーに体を預ける。


「大倉、私、なーんにもしないのに失恋しちゃった。」


「･･･カンが失恋すんの待ってたって言ったら怒る？」


「･･･大倉？どこまで本気なのか全然わかんないんだけど。」


見た事ない大倉にもしかしてほんとに私の事？って今度は驚きの方が強い。



なんやねん、って若干呆れながらテーブルの上のティッシュを取り出して涙をグイって拭かれた。


「オレってそんな信用ない？」


「大倉の素行の悪さはよく噂で聞くよ。」


今は受け付けの水上さん狙ってんじゃなかったっけ？割と必死に。


あー、まあなーって髪の毛ぐしゃぐしゃし出してる。


「だって本命が違う男に夢中やし、オレやって男やから遊びたいもん。」



･･･こんな男と誰が付き合いたいと思うんだろ？


「悪いけど他の本命あたってくれる？」


「アホちゃう？本命は一人やから本命言うんやろ？」

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