北山さんに恋する彼女達

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貰ったプレゼントが嬉しくて電車の中で紙袋を覗いて見る。



･･･口紅だ。


なんちゅう思わせぶりな誕生日プレゼント？
いや、もしや先月行った海外出張の時のお土産の余りなの？
北山ならやりそうだしっ。


でもこれは日本の物みたい。


･･･北山の謎なプレゼントに電車に揺られながらメールをする。


『口紅とか貰うとドキドキするよ？』


私にしては攻めたメールが送れたのは
やっぱりほんとに嬉しかったからだと思う。



『そしてフルネーム呼ばれて自分の名前思い出しました笑』


名前で呼んでくれてありがとうっていう意味も込めて。


すぐ返信が来るのも北山らしい。


『菅野A狙ってる男オレ結構知ってるから。それ付けていい男ゲットしちゃってくださいな。』


なにそれ？意味わかんない。


『よくわかんないけど嬉しいよ。ありがとう。』


メールでなら素直にお礼も言える。


『どういたしまして。おまえいい奴だから早く幸せになってもらいたいの、オレ。』


･･････くるね。心臓をえぐられる。


口紅を贈っときながら
もはや男友達的な扱いにグサっと心に突き刺さる止めの一言。



『ありがとう。
北山もいい奴なんだから早く幸せになりなよ？』


血の涙を流しながら何とか返信をして
ズタズタの心で家に帰る。




複雑な思いで箱を開けて口紅の色を確認した。


真っ赤な深紅の口紅にうわってなる。


「だから私３３だって･･･。」


こんな若い子が付けるような色、私に似合わないよ。


そしたらまた北山からメールが入った。



『まだ３３だろ？気遅れてんじゃねぇぞ？』



･･････。



付けてやろうじゃないの。


明日この真っ赤な口紅で出社した私を見ていい女だって思わせてやるんだからね？


もしやっぱ似合ってねぇな、なんて言われようもんなら蹴っ飛ばしてやんだからね？！



そこまで私を女にしたいなら責任取って貰おうじゃないの。


見ててよ？北山っ！！






同期の北山。


続く

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