北山さんに恋する彼女達

※ ページ29

目ウルウルさせてオレを見上げるリンに、おいおい、なんて思いながらも


薄暗い部屋で２人っきり。


内心息を飲んでるオレがいる。





だっていつものリンじゃない。



やべ。
子供だと思ってたのに普通に女出してくんじゃねえよ･･･。




「帰りたくないって。お母さんと喧嘩でもしたか？」


とかとんちんかんな事言って話しはぐらかしたい。
じゃないとどうにかなりそう、オレ。



「北山さんひどい。」


うん。オレもそう思う。



どうしたもんかと固まってると
ギュッって両腕を掴まれた。



「私っ、私じゃダメですか？」



･･･ふと水上さんに告白された時の事を思い出した。



水上さんといい、リンといい
こんなに真っ直ぐに感情をむき出しにして想いを伝えられると全く好きじゃない子だって気持ち揺れる。




･･･オレに足りない所、２人はものすごい武器にして真剣に向かってくるんだ。



だいぶ狼狽えてる所に



「私みたいな子供やっぱダメですか？」



･･･どっかで聞いたセリフだなおい。



「･･･リン。ダメじゃないけどオレ好きな人いんの。」



歳下だから相手にされないって思われるのは可愛いそうだった。
仲村さん口説く時にマジでそれがネックだったから。
だから正直に言っときたかったんだ。






「･･･佐野さんですか？」








誰もがカンと付き合ってるって勘違いしてる中リンはAだって思ってんの？

こいつやっぱ子供じゃねえな。
あいつとの関係が見透かされてる事にドキッとする。



「それは内緒。」


「お付き合いしてるんですか？」



「してないよ。」


「･･･じゃあ、じゃあ私にもチャンス下さいっ。」


必死じゃん。


なんだよ。


「･･･なあ？おまえまだ２０歳だろ？オレみたいなおっちゃん相手にしなくたっていい男回りに沢山いんじゃん。」


あれ？仲村さんに言われてる事と同じような事ばっか言っちゃってるオレ。


･･･どうりでオレも相手にされないはずだわ。


リンを見てると仲村さんといるオレに見えて来て何とかしてあげたいって気になってるのはきっと酔ってるからだ。


でも何とかって？


ここでオレと仲村さんみたいな関係をリンが望
む訳ない。

※→←後輩のリン。

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