折れた翼【ハイキュー!!】

＃４６ ページ46

翌日


少し長くなった放課後の教室掃除を終え、私は体育館へ小走りで向かっていた


「あ、こんにちは」


「Aちゃん。こんにちは」


体育館へ続く廊下で丁度清水さんと合流し、軽く会釈をする


今日も相変わらずの美貌だ


少し重たい体育館の扉を開けると、突然黒い何かが飛んできた


「潔子さァん！貴方に会いに来ましたーッ！！」


肩が跳ね上がったように驚くのも束の間、清水さんは飛んできた何か(誰か？)をピシャンと叩き落とした


「さ、着替えにいこ」


清水さんはまるで何も無かったかのように更衣室へ向かう


「・・・あの」


清水さんは先に行ってしまったけれど、流石に初対面で見ぬ振りはできず、恐る恐る話しかける


打ち上げられた魚のようにピクピクと痙攣している誰かは、突然ムクっと起き上がってこちらを凝視した


「・・・女子・・・もしかして」


「あ、えっと・・・1年の桧山Aです。そこにいる日向と同じクラスで、マネージャーをさせて頂いてます」


「マネージャー・・・！龍！！」


突然立ち上がって、目の前の男子生徒は田中さんの名前を呼ぶ


「ああ、ノヤっさん！」


気づけば隣にいた田中さんが、その生徒の肩を叩いて、どこか誇らしげに頷く


ノヤっさんと呼ばれた男子生徒はキラキラした顔でこちらを向く


「俺は西谷夕！2年だ！俺のことは夕先輩と呼んでくれていいぞ！！」


「よろしくお願いします、西谷さん」


あ、この人も変な人だ


思わず声に出すのを抑えてそう言う


膝を着いて項垂れる西谷さんを放って、私も清水さんの後を追い更衣室へ向かった




「失礼します」


「Aちゃん。ごめんね、先に来ちゃった」


先に着替えを終えていた清水さんが、制服を畳みながら言う


「もしかして、西谷に掴まってた？」


「ああ、まあ」


「ちょっと変なとこもあるけど、悪いやつじゃないから」


そう、少し困ったように笑う清水さんは、そういいつつもやはり可愛い後輩だと思っているらしい


昨日までの部活にはいなかったが、休部していたのだろうか


そんなことをちらっと考えながら、急いで着替えを終える


「お待たせしました」


「ううん。今日もよろしくね」


着替えを待っていてくれた清水さんは、柔らかく微笑んだ


うん、今日も目の保養だ

＃４７→←＃４５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す