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#43 ページ43

「連絡が取れなくなって、どれだけ俺が心配したと思ってるの」


ニコリと笑った顔のまま尋ねる及川だが、明らかにトゲがある


「前のスマホ壊れたから。それに、おばさんには連絡してる」


「そりゃ、こっちにいるのは聞いてたけど」


ぶっきらぼうに答える私に、及川は不貞腐れたように言う


「ちょ、ちょっと待ってくれ。なに、知り合い?」


2人で会話を続ける私たちに痺れを切らし、澤村さんが尋ねる


ふと周りを見ると、皆不思議そうにこちらを見ていた


「もしかして、彼氏?」


菅原さんが、面白そうに言う


「そうだよ」


私が答えるより早く、及川がからかうような顔で言う


何を考えているんだこの男は


「違います」


私は及川の頬を軽くつねって否定し、続けて言った


「これは従兄です」


「従兄!?」


澤村さんが驚いたように瞬きをする


「ああもう、ネタばらし早いな。あとこれって呼ばないで!」


くつくつと笑いながら及川が言う


「こっちは可愛がって育てたっていうのに、ちっとも可愛げがなくてさあ。急に連絡も取れなくなるし」


私は口を尖らせる及川を一瞥し、また1つ溜息をついた


「関係ないでしょ。それじゃ」


無理矢理話を終わらせ、背を向ける私の腕を、及川が強く掴んだ


「待って、話はまだ終わってないよ。大丈夫なの?お前もうバレーは、」


「徹」


遮る私の声は、自分で思うより低かった


静かに見つめる皆の視線が、痛い


「すみません。このバカは放っておいて構いませんので帰りましょう」


「でも…」


「ちょっと、バカって酷くない!?」


「黙って」


澤村さんは困ったように、言い合う私と及川を交互に見る


「・・・わかった。後で連絡するから」


仕方なくそう言えば、及川は漸く掴んでいた私の腕を離した


「待ってるから。それじゃあ、烏野の皆も、また闘えるのを楽しみにしてるね」


胡散臭い笑顔で、及川が言う


「さ、帰りましょう」


いい加減この場にいたくなくて、私は一番に歩き出した


本当に、嫌なタイミングに限って面倒臭い奴に会うものだ


私は、今日1番の大きな溜息をついた

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(プロフ) - 睡蓮。さん» コメントありがとうございます!そしてご指摘頂いた誤字は訂正しました。ありがとうございます! (2021年6月16日 16時) (レス) id: 41f6dfb226 (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮。(プロフ) - めっちゃおもろいです!続き気になります!失礼ですが、#21の月島のセリフで、身長が慎重になっていると思われます!間違っていたらすみません!! (2021年6月16日 12時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
なっつ - とってもおもしろいです!!更新楽しみにしてます、、!!! (2020年6月3日 21時) (レス) id: a6681d3b33 (このIDを非表示/違反報告)
オオムラサキ - 夢主ちゃんのことがすごい気になります!!更新楽しみにしています。 (2017年2月22日 8時) (レス) id: 9910ac75da (このIDを非表示/違反報告)
ましまろ - この作品マジで面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2016年12月30日 19時) (レス) id: 0a11ec4996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2014年11月9日 2時

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