折れた翼【ハイキュー!!】

＃４０ ページ40

第3セットが開始され、早くも20-24で烏野のリードで試合が進んでいる


あと1点で烏野の勝利だ


だが、月島のレシーブミスで、相手に1点入る


そんなとき、青葉城西に、選手交代で及川がコートに入った


烏野に少しの緊張が走る


及川はピンチサーバーらしく、エンドラインから少し離れてボールを持った


そして、ボールを持つ手で月島を指さす


強力なジャンプフローターサーブは、真っ直ぐ月島へと打たれた


ボールはセッターに上がることなく、後ろのギャラリーへと弾かれる


「うん、やっぱり。途中見てたけど、6番の君と5番の君、レシーブ苦手でしょ。1年生かな」


及川はそう言ってにこりと笑った


意地の悪い男だ


名指しされた月島と日向が悔しそうな顔をする


笛が鳴らされ、再び及川が月島にサーブを打つ


月島の弾いたボールはまたも後ろに流れていく


「おいコラ、大王様！俺も狙え！取ってやる！」


日向が及川に向かって言う


「何、大王様って・・・」


「さあ・・・」


私の呟きに、隣にいた菅原さんが応えた


そして試合再開、烏野は及川のサーブを警戒し、少し澤村さんの守備範囲を広げるようだ


だがボールはピンポイントで月島に向かう


何とか月島は正面でレシーブするが、ボールはネットを超え、相手のチャンスボールになる


トスが上がった先は、ノーマークのライト


だが、日向の瞬発力は凄まじく、常人では間に合わないブロックを飛んだ


打たれたボールは日向の左手に当たり、烏野のチャンスボールになる


着地した日向は間もなくコートの反対側に走る


相手の選手は直ぐに日向をマークするが、ブロックを飛ぶ間もなく、ボールは及川の真横を通って叩きつけられた


静寂


そして試合終了の笛が鳴る


勝利したのだ


宮城県ベスト4、青葉城西高校に


「よっしゃああ！！」


田中さんが声を上げた


両チームが整列し挨拶をする


一方で、武田先生は気が抜けたようにベンチに座り込んだ


「どうしたんですか？」


菅原さんが訪ねる


「すごい・・・」


そう呟く武田先生に、菅原さんは嬉しそうな顔をする


「ああ、そっか、先生は日向と影山の攻撃見るのは、今日が初ですもんね！凄いでしょ！もう凄いっつうか、こわいっつうか・・・！」


菅原さんは目をキラキラさせて熱弁する


そこへ、試合を終えた選手達が駆け寄った

＃４１→←＃３９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す