折れた翼【ハイキュー!!】

＃３３ ページ33

そして、練習試合の前日


まだ着慣れないパリパリのジャージに身を包み、ドリンクを運ぶ


部室の側を通った時、顔色悪く、腹をさすりながら歩く日向を見た


そして、目の前を通り過ぎた直後


部室の戸が空き、中から田中さんが慌てて出てきた


「日向ァ！下、それ俺のジャージだよ！！」


更に青ざめる日向


そして、ジャージがないため下着のまま飛び出してきた田中さんと、それを見て叫ぶ女子テニス部員


なんともシュールな絵面に、思わず溜息がこぼれた


「日向、田中さんにジャージ返してきて」


「はっ、ハイ！」


そう、日向は慌てて部室へ向かった


「田中さんは、制服でも何でもいいので、まず何か下を履いてから出てきてくださいね」


「ハイ・・・」


最低！と叫ばれた田中さんはわかりやすく肩を落として、部室へ戻った


その後


田中さんは落ち込んでいるのかとも思ったが、案外気にしていない様子で、明日の練習試合に向け、気合い十分といった様子だった


一方日向は、何を気にしているのか、先輩に話しかけられる度、全力で謝っていた


「明日の練習試合、大丈夫ですかね」


「・・・多分ね」


清水さんは困ったように笑った





夜が明け、そして、放課後


「整列！」


「「「お願いします！」」」


バスを運転してくれる武田先生に、全員で挨拶をする


「はい」


武田先生は、いつもの人の良さそうな笑顔を見せた


荷物を持ち、バスに乗り込む


「大丈夫？」


真っ青な顔の日向に尋ねた


「あぁ・・・昨日寝れなくてさ」


「そんなことだろうと思った。日向は前の席に座んな」


「いっいや、先輩が座ってるのに、そんな・・・」


そう真っ青な顔のまま言い、ブンブンと首を横に振る日向を止めた


「月島とか、山口は？」


日向はもっと激しく首を振った


「・・・じゃ、私も隣にいるから。下向くなよ、酔うから。それか、着くまで寝てな」


「わっ、わかった！」


全員乗ったのを確認し、バスは烏野を後にした


日向の逆となりには田中さん


「おい日向、食いもんやるぞ！」


言いながら日向の顔を覗き込んだ田中さんは、驚いた顔をした


「お前、何その顔・・・」


「あぁ、寝不足らしいです。後は酔ったのかと」


首を縦に振った日向はその直後、一気に酔いが回ったらしく、窓に手を伸ばした


「ちょっ、日向っ」


慌てて袋を渡す


あれ、結構やばめ・・・？

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