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大神はいつもの様に笑みを浮かべ、目を伏せる。後ろで腕を組み、脚を遊ばせている。靴先を鳴らす軽い音が静まる空間に響いていた。
暫くしてその音は止み、大神は1度目を閉じた。
『君たちの知っている僕を、どうか教えてほしい。』
そして、目を開ける。月のように揺れる眼は、鬼道を真っ直ぐに捉えた。今まで一向に合わなかった視線が、やっと合う。
「……態々来ていただいた貴方を手ぶらで返す訳にはいきませんね。」
鬼道は小さく息を吐き、肩の荷を下ろすように笑った。先程までは顔を強ばらせていた土門もほっと息をつく。
『君には心から感謝を。君たちの気遣いを無駄にしてしまったようで、本当に申し訳ない。』
「いえ、この件は俺が独断で判断していただけに過ぎません。礼や謝罪は寧ろ俺が貴方に言うべきでしょう。」
鬼道は踵を返すと、通路の先へ歩き出した。土門もそれに続く。
大神はというと、自室であると告げられた部屋の扉をじっと見詰めていた。扉に再び触れ、指先で撫でる。
『……
「大神さん？」
呼び掛けられて顔を上げる。鬼道と土門は脚を止め、大神を振り返っていた。
『今、行くよ。』
大神が遅れて2人に追いつき、再び動き出す。
「総帥室に向かいます。あの場所には現在卒業した生徒や退学した生徒のデータが3年は保管されますから、貴方が帝国学園生であった情報も残っている筈です。」
へぇ、という大神の短い返事を最後に静寂が訪れた。通路にはひたすらに靴音が響く。
総帥室までの道のりにて、この沈黙が続く事に居心地の悪さを感じたらしく、土門が思い出したように声を上げた。
「あのォ！……ですね、ほら、さっき大神サン言ってたじゃないですか、俺たちが知ってる貴方を教えて欲しいって……！」
何かあります……？なんて、酷く裏返った声で叫びながら大神を見る。鬼道も同意するように、静かに大神へ目を向けた。
『そうだね……僕はこの学園で一体どんな立場だったんだい。
「あぁ、帝国一の実力だとか、首席だったとか色々あったと思いますけど、一番の理由は総帥補佐的な位置だったからですかね。」
『……整理するから待って。』
「土門、混乱させるな。」
「QにAで応えただけなのに？！」
冗談だ、と鬼道が笑った。
──視界が揺れる。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
