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数字と睨み合うこと15分、大神は一向に正しい暗証番号を入力することが出来ずにいた。
『……駄目だ、これ以上は何も浮かばない。』
「あらら……」
何度か入力してみたものの、今ところ全て弾かれてしまっている。どれもこれも宛が外れ、ついに引き出しが0になった。
『なにかあったけなぁ……数字……』
ここからは、もう予想と感だ。再び数字と向き合い、適当な数字を浮かべる。
「──土門、そこで何をしている。」
突然、背中に刺さるような酷く冷たい声が通路に響いた。
土門の肩が大袈裟に揺れ、錆び付いた機械のようにゆっくりと声の主を振り返る。数字に伸ばしかけた指を止め、大神も視線を向けた。
「げぇッ！？」
土門が大声を上げ、至近距離からその声を聞いた大神は耳を塞ぐ。なんだなんだ、と土門の背から通路を覗き込んだ。
「きッ鬼道さん……」
鬼道はというと、ゴーグルによって見えない瞳とは裏腹に、眉はわかりやすく曲がっている。
「ここが何処であるのか分かって──」
鬼道は早足で土門に詰め寄ると、その背の影にいる大神の姿を見て目を見開いた。
「……土門。」
土門は目を忙しなく泳がせてから、緊張した面持ちで背を伸ばす。
「余計な事はするなと言った筈だが。」
「……俺はこのままでいることが、大神さんの為になるとは思えません。」
「だとしても時期は今じゃない、今はFFの最中だという自覚があるのか。」
2人の間には緊張した空気が漂い始める。
大神としては、いつまでもこんな所で口喧嘩をしてもらう訳にはいかない。早々に2人の間に割って入り、手でハサミを作ると糸を切るような仕草をする。
『気を使ってくれていたんだね、ありがとう。』
大神が間に入ると、鬼道が1歩後ろに下がる。土門は止めていた息を吐き、肩を下ろした。
『けれど、全てを知らないままなのも、また不安なんだ。今に至るまで、一体何があったのか……僕は知りたいと思っている。』
鬼道は何か言うでもなく黙り込む。
暫く沈黙が続き、大神は肩を竦めた。ならば、と口を開く。
『……記憶を失ってから初めて君と会ったあの日、君が僕の名を呼んだ時から気になっていた事があるんだ。』
──大神A。……これが、貴方の名前なんですね。
思えば、妙な事だった。
帝国学園で1年共に過ごした筈の鬼道は、大神の名を確認してそう言っていた。
『鬼道くん。
ほら、まだ知らない事ばかり。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
