61 ページ13
秋葉名戸中との試合後、家に帰れば久々に父が家に帰っていた。いつもは1人で座る食卓も、今日は父と向かい合っている。
『そう言えば、父さん。』
久々に会話をするのだ、聞きたいことは話しておいて損は無いだろう。
「……何だ。」
『この前、鬼道財閥の御令息にお会いしたんですが、何処かで会ったことはありませんか？
実は、初めて会った方ではないような気がして……』
鬼道とは会った記憶がなかった筈であるが、鬼道の方は大神を知っている様なのだ。父ならば、何かを知っているかもしれない。
「何故、お前が鬼道御令息とお会いしたんだ。」
『ああ、病院の帰りでばったり。』
「……何故、病院に行ったんだ。」
『カウンセリングを受けるためですが……どうかしましたか？』
「何故、カウンセリングを受けたんだ。」
こちらから質問した筈であるのだが、やけに質問が飛んでくる。一向に大神の質問に応えようとする傾向が見られない。
だんだんと腹立ってきた、冷静な判断が出来なくなる。
『3年間の記憶を思い出す為ですよ。父さんは教えて下さらないのですから、自分で……』
カランッ、と珍しく父が手に持ったナイフとフォークを離す。同じことをした幼い大神に、はしたないと言ってよく怒っていた父が、だ。
ああ、判断を間違えたか。
『父さ……ッ……！！』
突如、呼吸が出来なくなった。
「……記憶を思い出す？お前は何も思い出さなくて良い、思い出す必要など無い。」
襟元を捕まれているようだ。顔を上に向け、何とかって気道を広げる。大神は首を圧迫されながら、冷えた頭で何故この父親が憤怒来ているのかを考える。
『(何故……何がいけないんだ？
僕はただ、思い出したいだけだ。
失った記憶を、全て。
何が、父の癇に障るんだ？)』
襟から投げるように手が離され、一気に空気が肺に入り込む。咳き込み、ゆっくり顔を上げれば、無表情でありながら眉間に皺を寄せている父が目に映った。
手を上げていた、きっと殴られる。
このまま臆して、目を瞑っても良いのか。
否、良いわけがない。
屈しないと誓ったのだ。
目を閉じて、痛みに怯えてはいけない。
『……いい加減にしてください。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鷹羽(プロフ) - 雪華さん» 詳しく知っているアニメはあまり多くないのですが、上げるとするなら、このイナイレであったり、ジャンプコミックスのアニメ化した作品あたりを知っています。 (2021年3月6日 16時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年2月26日 12時
