ロスト・パピヨン (ページ3)

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姉｢それじゃあ、アグリーたちはどうなったの？｣

今まで静かに聞いていた姉が、頭を上げてそう聞くと

母はふわっと笑って

『それから、悪いことを考えて人間にこらしめられたアグリーたちは、人間の目に触れることは無くなったそうです。

この世界には幸せな日々が戻り、人々は平和に暮らしましたとさ。

おしまい。』

と、最後まで読みきった。

なーんか、パッとしないお話。

難しい言葉ばかりのその内容に

幼いながら、私はそう思ったのを覚えてる。

当時はお姫様が出てくるお話が好きで、よく王子様と最後に結ばれるハッピーエンドを聞いては満足していたのに。

そのせいか、私はこのお話が
どうもハッピーエンドだと思えなかった

｢おかあさん。｣

『なあに？』

｢今日のお話はよくわかんなかったー！｣

顔を見上げてそういった私に

そう、と母は一瞬目を合わせてから言葉を続けた

『でも貴方たち？もし絶対にアグリーと会っても話しかけたり、目を合わせてはいけないわよ。』

アグリー達がいる世界なんて、お話の中の世界のはずでしょう？

それなのに、どこか空(くう)を仰ぎながら言う母を不思議に思った。

｢どうしてー、？｣

もう時刻は昼下がり。

眠気と格闘しながら呟いたものの
私と姉は下がる瞼に耐えきれずに、そのまま眠ってしまった

『今でも彼奴らは人間を恨んで、子供だろうと関係なく攻撃してくるからよ…』

" だから、絶対に近づいては駄目よ "

そう続けた母の言葉に

気づきもせずに。

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