36(壱馬side) ページ36
.
.
.
壱馬side
壱「…はぁっ」
中目黒にある焼肉屋からそう遠くない、彼女の働く佐野珈琲まで、全力で走った
昼に会ったばかりなのに、再びドクドクと胸が鳴る
走ったからじゃなく、彼女を想うから
20時。レトロな雰囲気と共に灯りが灯っている
扉を開けると、ドアベルの音で、カップを磨いていたマスターが顔を上げた
マ「おぉ、壱馬。どうした?」
壱「あの…Aは?」
マ「1時間くらい前に帰ったよ?」
壱「…そうですか」
今日は諦めて帰るか…と思いかけた瞬間、さっき言われた慎の言葉を思い出す
.
" Aさん、誰かに取られてからじゃ遅いです "
.
壱「マスター、Aの家って此処から…」
マ「歩いて10分くらいかな」
壱「…急に行ったら迷惑ですかね?」
マ「ふふ笑 それは自分が一番分かってるだろ?」
壱「…分かってます」
マ「CDショップの隣のアパート。すぐ分かるよ」
壱「ありがとうございます!!」
ニコリと目を細めて微笑んだマスターに見送られ、Aの家へと走って向かう
.
彼女のことはよく知らない
壱「…此処や」
理由なんて要らないし、無くったっていい
アパートの二階、一番奥の部屋
マスターから聞いた彼女の部屋を見てから、ポケットに入ったスマホを取り出す
.
『…もしもし?』
.
ふわりと、少し眠そうな声で電話に出てくれて、それが可愛くて、思わず笑みが溢れる
壱「ごめん、寝てた?」
『ちょこっとね…どうしたの?』
壱「ん、会いたくて来てもうた」
『ん…え?』
壱「外出れる?」
少しの沈黙の後、電話越しにばたばたと物音が響く
急に来て悪かったなー…と反省していると
「…うそ」
バンっと玄関のドアが開き、口元を押さえて、目を丸くした彼女が姿を現す
.
彼女のことはよく知らない
でも、好きなんやって
そんな事を伝えたら、彼女は照れて笑うだろうか
.
3555人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時