Nectar【川村壱馬】

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陣「どしたん？そんなおっきい荷物持って…」


「あっ、すみません」









片手に大きなビニール袋を抱えた陸さんの隣にいた陣さんは、ひょいっと私の荷物を持ち上げた









陣「重っ！何が入ってるん？」


「珈琲です、配達に来ました」


陸「配達？何で？」


「あ、私佐野珈琲っていうお店で働いてて…」


陸「えっ！！」


陣「キャプテンの所で！？」


「きゃぷ？」









全て言い終わる前に、二人の驚いた声に被せられる









そういえば、前にもマスターはキャプテンって呼ばれてたな、えっと確か…









北「あ〜居た！！ちょっと〜二人ともどこまで買いに行ってるんですか？……あ！」


「北人君！」


北「覚えててくれたの？嬉しい！」









中から走って出てきたのは、
壱馬と一緒にお店に来ていた北人君だった









北「何でAちゃんがここに？」


「このメモに書かれた部署への配達です。受付に届けたらいいのかもよく分からなくて…」


北「あー、LDH kitchenか…一緒に行ってあげる！」


「本当ですか？ありがとうございます！」









何と心強い、と思っていると、
キョトン顔の陣さんと陸さんに気付いた北人君









北「陸さんほら、壱馬の…」


陸「あー！あのLINEの？」


北「そうです…陣さんアイス溶けますよ」


陣「あかん！早よ皆のとこ行かな！」


北「あとで顔出すんで先行っててください」


陸「おっけ〜」









会社へ入り、陣さんから荷物を受け取った北人さんは、二人に軽く手をあげてから、行こ？と歩いて行った









北「佐野珈琲からの配達なんですけど…」


受「いつもありがとうございます
こちらでお預かり致しますね」








ここに所属するアーティストなのに、わざわざ一緒に受付で手続きをしてくれる彼










あまり外部との接触はせず、佐野珈琲内でだけの仕事に限って続けてきた私









マスターが店をあけている時、どこに行っているかを知ろうともしなかったけれど








いつも、ということは、マスターはよくここへ配達しに来てたんだ…









北「さ、配達も終わったことだし…
ちょっと顔出しに来なよ」


「え？いやいやいや」


北「大丈夫！
こんな可愛い子来たら皆喜ぶから！」


「ちょっ！！」









ぐいっと手を引かれ、
半ば強引にエレベーターに乗せられた









この世界には、まだまだ知らない事が沢山ある





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