【歌,い,手】音ノ葉

#26 bygone days ページ27

うらたぬきside


今日出会った女の子、霧崎A。


俺はその子が気になっていた。


憂いを帯びた、海のように真っ青な瞳に、吸い込まれそうなほどに綺麗な黒髪。


そして‥‥｢虐められるよ｣の一言。


隣にいた坂田‥‥坂田優に聞いてみた。


｢なあお前、霧崎さんのこと知ってる？｣

｢え、あの可愛い子のこと？知ってるけど‥‥ていうか俺んちでよくそんなにくつろげるよな！｣


引っ越してきたばっかりやん！と坂田が言った。


俺の親が海外に転勤になり、ここに引っ越してきた。


親によると、｢知り合いの所なら寂しくないでしょ〜｣とのこと。


はあ‥‥ハイテンションな坂田について行く俺の気にもなれよ。


｢で、お前は知ってんの｣


机の上に置かれたスナック菓子に手を伸ばしながら話す。


坂田が、あ、俺の‥‥と言っていたけど、空耳ということにしておいた。


｢‥‥んまあ、知ってるけど。最初の中間テストで5教科満点をたたき出したんだよ｣


大天才って訳。とメロンソーダをがぶ飲みしながら言う坂田。


ふうん‥‥ならあのウザイ女子達はアイツ────Aの頭の良さに嫉妬して虐めをしてる訳か。


いや、それ以外もありそうだな。坂田が｢あの可愛い子｣って言ってたし、それなりにモテるんだろう。


あんなふうに言ったから、明日は俺が虐めの標的かな。


転校二日目ってこんなに憂鬱なものだったかな‥‥。


俺は坂田に｢もう寝るから｣と言って、リビングから離れた。


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