家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ42)

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第90話「人間の本質」ページ42

この日、和也は一人で“田子雄大”に関する情報を集めていた。
本物の吉本荒野の母親にもう一度会い、“田子雄大”のことを知っている人物を尋ねたのだ。
しかし手掛かりといえるような情報は少なく、途方に暮れていた。
和也「クソ…」
公園のベンチに座り、何も手がかりを得ることが出来ない苛立ちを抑えていると誰かが隣に座った。
吉本「何か分かった？俺に関すること」

和也は思わず立ち上がった。
和也「いつから居たんだよ」
吉本「う～ん、君が“吉本荒野”の病院に行った辺りからかな」
和也「…ずっとか」
吉本「そんな怖い顔すんなよぉ～、お前だって知られたくない事の一つや二つあんだろ？」
家庭教師は顔を近づけ、低い声で言った。

和也「そんなのある訳ないだろ」
吉本「そう！無いんだよ、お前にそういう弱点がさぁ」
和也「何が言いたい？」
吉本「つまんねえなぁって思ってさ」
和也「つまんない？」
吉本はベンチから腰をあげ、公園を眺め出した。

吉本「人間には必ず裏の顔がある、全部が全部良く出来ているわけ無いんだよ」
和也「そんなはずないだろ、現に世の中にはたくさん素晴らしい人はいるはずだ」
吉本「そんなの偽善者だよ～、そいつらは表面しか見せない自分に驕っているだけだ。
　人間はみな、欠けているところが必ずある」
そういい、吉本は和也に近づいた。

吉本「いつかお前の化けの皮も剥いでやるよ、お前のことを信じている人たちの前でな」
和也「やれるもんなら、やってみろ」
吉本「いいねぇ…」
不敵に笑うと、吉本はその場を後にした。

外は少しずつ雨が降り出していた。