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114話:そーしょたいとか ページ21

「みーんなーおっまたせー」

自分史上最高級の笑顔を繕い、医務室に入る。

教科書を真剣に見ていたみんなは一斉に私へと視線を移し、可愛らしい笑顔で迎えてくれた。


ああ、この笑顔で先ほどのイライラも煙のように消えてしまう。

私はみんなの隣に座りこみ、教科書を覗き込んだ。


「…………文字、読めねえ」

草書体とかわかんねえよクソが。


ころりと顔色を変え、孫兵くんの様子を伺う。

孫兵くんは今朝よりも元気そうで、あとは痩せた身体をどうにかするだけだ。


「まーごへーいくんっ
暇だしかまってよ」

そう言って孫兵くんの腰に抱きつき、腹をまさぐる。

「わっ何するんですか。
指の動きが気持ち悪いです。
離れてください」

「えぇー、いーじゃん遊ぼうよ。
つーか何気持ち悪いって。
私の心が弾け飛ぶよ」

きゃあきゃあと笑いながらお腹をくすぐる。

てっきり身をよじるなりなんなりするかと思ったのだが、孫兵くんは微動だにしなかった。

「……くすぐったがらないんだね」

「ぼくそういうの効かないんで。
離れてください」

「ぶー」

面白くないなあ、と文句を言いつつ蛇の本を取る。

すると、先ほどから硬直していた左門くんが口を開いた。


「Aさん…」

「ん?なに?」

「なんで孫兵といちゃついて……」

「いちゃついてない!」

孫兵くんが顔を赤くさせて否定する。

対して私は何でもない様に言った。


「だって暇だし」


「えぇー…」

同じく固まっていたみんなが腑に落ちないという顔をする。


本当は痩せ具合の確認と軽い触診目的だったのだが、そこはあえて言わない。

誰だってちょっとおちゃらけてる位が親しみやすいのだ。

私はニシシと笑い、蛇の本を広げた。



しばらくすれば外の鐘がカンと鳴る。

「あっ、晩ご飯の時間だ」

三之助くんがそう言えば、みんなも教科書を片付けて医務室を出た。

115話:うどん→←113話:汚ねえ奴ら



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河鳴(プロフ) - さくらんぼぱいさん» 前作からありがとうございます!ギャグとかほざいてたクセにシリアスたっぷりですが、よろしくしてやってください! (2015年6月15日 19時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼぱい(プロフ) - すごいおもしろいですー。笑更新がんばってください。応援しています (2015年6月15日 18時) (レス) id: eb5c2b9479 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - 吹雪夏海さん» 今までノーマルだった夢主ちゃんはショタへの目覚めに戸惑うこともあるでしょうが、生温かい目で見守ってくれたら幸いです!応援ありがとうございます! (2015年6月14日 22時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪夏海(プロフ) - 河鳴さん» wwwショタ夢主って大好きですw面白いから【真顔…更新応援してます!! (2015年6月14日 22時) (レス) id: ffcea8df34 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴(プロフ) - 吹雪夏海さん» コンセプトは「とにかくショタ」です( *`ω´)前作が久々知オチでしたので、今回はとにかくショタです。上級生もギリギリショタとか知らない。ショタが許されるのは小学生までです。これからも夢主ちゃんのショタコンへの変貌っぷりに乞うご期待です! (2015年6月14日 0時) (レス) id: 26f58208c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:河鳴 | 作成日時:2015年6月3日 19時

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