落胆と安堵 ページ35
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リ「…“エネルベート”」
医務室に運び込み、Aをベッドに横たえた。
エバンズが息を吸い込み、呪文を唱える。
セブルスは邪魔はしないと退散した。
『ん…』
Aがゆっくりと目を覚ます。
ぼやける視界に、思考。
1番最初に目に入ったのは…
赤毛に、輝く緑の瞳
エバンズだった。
リ「ル、ルノワール君？」
エバンズは期待で胸をふくらませながら、意識を問う。
『エ、バンズ？』
リ「そうよ。あなた、廊下で倒れていたの。何か覚えてる？」
『うー……ハッフルパフの女生徒に呼び出されて、それから…思い出せない。』
Aは目を瞑って、必死にに思い出そうとする。
リ「体は？大丈夫？」
『ああ…なんか変な感じする。頭はクラクラするし、なんかすっげぇ熱い。』
リ「熱い！？もしかして熱かしら…」
エバンズが手をAのおでこに乗せる。
『あー…つめたくてきもちー…』
Aはへにゃっと笑い、エバンズの手に擦り寄った
リ「！？！？！？」
エバンズは顔を真っ赤にして、慌てて手を引っ込める。
『えー冷たかったのに…てか、今日ジェームズの試合じゃん。
行こうと思ってたのになぁ…絶対あいつキレるじゃん…』
いつも通りなAに、少し拍子抜けするエバンズ。
まさか、惚れ薬じゃなかったとか？
リ「…」
『…？何でそんなにしょんぼりしてるんだ？』
リ「別に、何でもないわ。」
残念だ。
と思うと同時に、安堵の気持ちもある。
こんな手を使って惚れさせるなんて…。
相手の好意が偽物だなんて、自分が苦しいだけだ。
『そうか？……俺は少しここで休むけど、エバンズはどうする？』
リ「私は…」
エバンズがそう言いかけた時、医務室のドアが大きな音を立てて開いた。
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作者名：ネクタイピン | 作成日時：2022年3月2日 21時
