ママンの話 ページ21
、
リ「…マザコン…？」
エバンズはちょっぴり引いた目で見てきた。
『あんま引くなよ。すげー美人なんだ。……写真見せてやるよ。』
Aはそう言い、首元の小さなペンダントを取り出した。
リ「え、ロケットペンダント？」
『そ、いつも付けてんの。ほら……これがママン。綺麗だろ？これ、2、3年前だよ。』
そこには、白黒の魔法写真が入っていた。
女性の顔だけで、首元までしかない。
女性は、ふんわり、優しく微笑んでいる。
『ブロンドなんだ。瞳は青。』
白黒でも、髪の艶やかさが伝わってくる。
リ「すごい…本当に綺麗ね…」
エバンズは魅入られたように、写真を眺める。
『だろ？惚れないわけないじゃん。…よく見れば、エバンズも少しママンに似てるかも。』
リ「ええ…こんなに美人じゃないわよ…」
『そうか？この目元とか…』
Aは、ペンダントを眺めるエバンズに近づき、写真を指さす。
2人の顔が近づく。
『ほら…似てない、か…？』
エバンズの方を見れば、目の前に綺麗な緑の瞳がある。
顔の距離が、近い。
互いの吐息が、肌で感じられる。
リ「あ………ご、ごめんなさい！これ、返すわ！そろそろ帰らなくちゃ！」
エバンズは顔を真っ赤にして、慌ててAから離れる。
ペンダントをAに押し付け、勢いよく立ち上がる。
リ「きょ、今日は、本当にありがとう！また、今度ね！」
『お、おう…気をつけて帰れよ！』
Aは至って普通だが、エバンズは顔を真っ赤にして、その場を走り去った。
『何だ？熱でもあったのか？すごい顔赤かった…』
Aはぼけっとしながら、天文台の塔からしばらく外を眺めた。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネクタイピン | 作成日時：2022年3月2日 21時
