完璧になる為に ページ3
父親『−−−−桜舞財閥の名に恥じぬよう、完璧に努めなさい』
こう言われたのは、僕がこの世に産まれ落ちてすぐのことだった。
人には幼児期健忘というものがある。幼少期の記憶というのは、精々3〜4歳頃からのしかないだろう。だが極まれにそれが起きない子供が産まれることがある。僕はその内の一人だ。
僕の家は総資産200兆を超える「桜舞グループ」。父が社長で、お祖父様が会長。産まれた時、父は僕を抱くこともなくベッドの上に寝かせた状態でそう言った。そして幼いながらに悟る。
僕は常に完璧でなくてはならない、と。
それからずっと、僕は常に完璧を目指してきた。失敗など許さない、常に100点じゃないと有り得ない。出来ないと殴られる。それが当たり前だった。悪いのは完璧じゃない自分だから。
完璧に出来なければ意味がない。トップに立てない人間は塵以下だ。そう言い続けられてきた。それぐらいじゃないと桜舞家は継げないから。
幸い、僕は何でも出来た。優秀な兄2人の実力を僅か5歳で抜き、現在は時期後継者だと期待されている。僕は継ぐつもりは全くないのに。
小学校に入ると同時に、漢検・英検・数検等、色々な検定に合格。教師からは明らかな媚を売られ、“友達”という存在を作ろうと思わなかった。
実際には作れなかっただけだ。休憩時間は予習復習、放課後は数々の習い事。遊ぶことなんて許されなかった僕と居ても、楽しくないことなんて丸分かりでしょ。ただ一人、僕と一緒に居ようとする奴は居たけど。
それもこれも完璧になる為だった。認められる為。後継者として、桜舞家の代表として相応しい人間になる為。
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